自分が人よりも

苦労をしてきたとは思っていない。

 

なにもなかったわけではないし

いろいろとあったけれど

おそらく人並みだと思ってきた。

 

プライベートな話を

人に話すことはほぼない。

 

少し前に必要に迫られて

少しだけ事情を話さないと

いけなくなったとき。

 

「あなたは暗いトンネルの中に

 いるのかもしれませんが…」と

真面目に本気で語られた。

 

驚いた。

 

やまない雨はない

あけない夜はない

終わらないトンネルはない

 

それは誰もの中にある

共通認識だとは思う。

 

ただそれを本気で真面目に

人に対していう人が存在すると

このときはじめて知った。

 

本気だから

真面目だから

 

このかたがとても優しくて

良い人なのはわかっている。

 

それでも自分よりもはるかに

長く生きておられるかたから

その話をされたことで

 

この人はきっと

明るくてきれいな

まっすぐなシンプルな道を

 

寄り道することなく

道からはみ出すこともなく

最短距離でまっすぐに

 

歩いてきた人なのかなと

感じてしまった。

 

それはもちろん

素晴らしいこと。

 

選ばれた人しかきっと

そんな人生は送れない。

 

ただ

 

せっかく長く生きてきて

その「あるある」な話を

本気で真面目にする大人に

 

少なくとも私は

なりたいとは思えなかった。

 

道の話。