Hourglass
落ちゆく砂の音をきいた。
今日も昼夜勤。
キャビネット向こうでは業者さんが作業中で。
“May I use your telephone?”
“Sure, go ahead.”
それなのに二言三言で切ってしまう。
と、思いきや。
空調音しかない部屋にベルが響く。
ああ。
携帯があたりまえになり。
一方で普通の電話は、
国内どこにかけても基本料金。
いつからだ?
他人の電話への障壁が下がっていた。
ちょっと前は意を決して、おそるおそる。
「あのー、電話お借りしてもいいですかぁ?」
電話を借りるのはお金を借りるのと同じだったから。
借金は断られることがある。
「貸してくれる」
気づかぬ確信に満ちるようになっていた。
「断ることないでしょ」
ここでも顔を出す「あたりまえ」。
「あたりまえ」の埋もれそうな習慣があった。
少なくともぼくの中では。
もう長いことこんなことをした覚えがない。
見かけた記憶もない。
そう、たしかに以前はあらかじめ番号を聞いておき、
相手が出たら手短に伝えてからかけ直してくるのを待ってた。
場所によっては「市外通話お断り」、
太い文字のおっかない貼り紙があったり。
年々電話がきらいになっていくせいかもしれない。
かけるのも、かかってくるのも。
携帯の普及で電話を借りることが少なくなったのもある。
考えれば色々な理由が出てくるのだけれど、
自分の中で消えかけていたことだけはたしか。
芯のところでもたついていたロウソク。
また炎に勢いがつきだした。
なくなろうとしていた砂時計。
だれかが上の管に砂を足してくれた。
そんな安堵感。
減っていく砂に。
砂があったことにすら。
気づくこともなかったのだから。
砂時計のあることも忘れていた。
ぼくの中には様々な、たくさんの砂時計が置かれていて、
こうしている今も少しずつ、少しずつ。
あり地獄のように吸い込まれていく。
落ちた砂はどこへいく。
小石を放り込んでも音もしないような穴でありませんように。
細くなった首の下にもちゃんと管がついてることを願うばかり。
そうして下の管がいっぱいになり、
砂の流れが止まったらまた小気味よくひっくり返そう。
あっちのも、こっちのも。
太陽は回りつづけるけれど、
砂時計はひっくり返さなければならない。
睡眠不足でぼやけた頭をすっきりさせてくれた数秒。
そろそろ砂時計をひっくりかえそうか。
あと2時間もすればスリッパはけるさ。

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キャビネット向こうでは業者さんが作業中で。
“May I use your telephone?”
“Sure, go ahead.”
それなのに二言三言で切ってしまう。
と、思いきや。
空調音しかない部屋にベルが響く。
ああ。
携帯があたりまえになり。
一方で普通の電話は、
国内どこにかけても基本料金。
いつからだ?
他人の電話への障壁が下がっていた。
ちょっと前は意を決して、おそるおそる。
「あのー、電話お借りしてもいいですかぁ?」
電話を借りるのはお金を借りるのと同じだったから。
借金は断られることがある。
「貸してくれる」
気づかぬ確信に満ちるようになっていた。
「断ることないでしょ」
ここでも顔を出す「あたりまえ」。
「あたりまえ」の埋もれそうな習慣があった。
少なくともぼくの中では。
もう長いことこんなことをした覚えがない。
見かけた記憶もない。
そう、たしかに以前はあらかじめ番号を聞いておき、
相手が出たら手短に伝えてからかけ直してくるのを待ってた。
場所によっては「市外通話お断り」、
太い文字のおっかない貼り紙があったり。
年々電話がきらいになっていくせいかもしれない。
かけるのも、かかってくるのも。
携帯の普及で電話を借りることが少なくなったのもある。
考えれば色々な理由が出てくるのだけれど、
自分の中で消えかけていたことだけはたしか。
芯のところでもたついていたロウソク。
また炎に勢いがつきだした。
なくなろうとしていた砂時計。
だれかが上の管に砂を足してくれた。
そんな安堵感。
減っていく砂に。
砂があったことにすら。
気づくこともなかったのだから。
砂時計のあることも忘れていた。
ぼくの中には様々な、たくさんの砂時計が置かれていて、
こうしている今も少しずつ、少しずつ。
あり地獄のように吸い込まれていく。
落ちた砂はどこへいく。
小石を放り込んでも音もしないような穴でありませんように。
細くなった首の下にもちゃんと管がついてることを願うばかり。
そうして下の管がいっぱいになり、
砂の流れが止まったらまた小気味よくひっくり返そう。
あっちのも、こっちのも。
太陽は回りつづけるけれど、
砂時計はひっくり返さなければならない。
睡眠不足でぼやけた頭をすっきりさせてくれた数秒。
そろそろ砂時計をひっくりかえそうか。
あと2時間もすればスリッパはけるさ。
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