足音
ドアを開ける。
少しだけの涼しさを感じた。
草花の緑のトーンがどこか低く感じられるのは気のせい?
見上げた時計台。
7と5を指す針は赤を灯したまま。
筋雲の掃かれた、薄い水色の空を背負う。
信号待ちをしている車の向こうに見えるワゴン。
四隅に立てたほうきの棒に結び付けられた黒い大きなゴミ袋。
空き缶、空き瓶、ペットボトル。
集めながら選別をしているみたいだ。
横断歩道を渡ると、
ポロシャツ姿の男が腕枕で眠っている。
消火栓の横。
次のコーナーでも緑色のTシャツの男が、
背を丸め、合わせた両手を股に挟んで熟睡中。
眠る人をよく見かける朝。
9年前の自分の朝。
どこかに秋の匂いを嗅いでいる。
一昨夜、台所の床で見たセミの死骸のせいだろうか?
ぼくの心が秋なのか?