U Can't Touch This:脱煙
「今日から脱パン者の仲間入りやね」
ニヤつきながら茶袋をを渡す。
(脱藩者……)
いい大人だけど、真剣に幕末ごっこなんかをやっててもまったく不思議じゃなく、
違和感なしで似合ってしまうMちゃん。
開けてみるととフンドシだった。
最近は久留米絣を使ってこんなものまで作ってるらしい。
脱藩ではなく脱パン(ツ)。
「リンパ腺ば締めつけんけん身体にもよかばい」
今年3月、日本でのひとコマ。
親友。サーファー。祭男。洋服屋。
フンドシまで作りはじめたMちゃん。
(おいおい、またまた釣り銭間違えやがって……。
何ドル札を貰ったかちゃんと確認せんとねー)
呆れと余裕を目にためてレジに立つ男を見上げる。
しばし沈黙の後、
まったく同じ視線が返されてきた。
指のさす先にあったのは。
つい今しがた渡された商品の値札。
(ゲっ……。また上がってる……)
できることは釣り銭をポケットにねじ込んで店を出るくらい。
Cigarette(紙巻たばこ)の地方税が上がったことは知っていた。
こだまする「まさか……」。
長い間、アンタッチャブルだったのに。
昨年、正月明けの日本から帰ってみると、
手巻き用たばこに連邦政府の手がついていた。
税込み$14だったものが25ドルに。
帰国していきなりの衝撃はでかい。
その上、年内にあと一度お手つきがあり$30。
<2年くらい前のものが貯金箱に>
(このアンタッチャブルにそう易々と州が手をつけるはずはない……)
頭を離れない。
今ではがめつそうにしか見えない、たばこ屋の苦笑も焼きついてしまってる。
(あの野郎、便乗しやがったかな?正直に生きようよ
)
6月の中頃から増税のニュースを何度も聞いていたけれど、
一度だって"Hand Rolling Tobacco"という言葉を耳にしてはいない。
疑心暗鬼。
2010年7月1日よりCigarette税増税。
州税:$4.35+NY市税:$1.50=地方税合計:$5.85
これに連邦税として$1.01、消費税、メーカー側にも課税されている。
$13の煙。
肺に入って出てくる白い煙くらいが税金だろう。
近々連邦税がまた上がるというニュースもあり、
手巻き派必需品の巻き紙、フィルターなど、たばこ関連商品税も上がるという。
喫ってるのはTOPという缶入りたばこ。
「内職してるみたいだな。工賃と考えたら巻かれてるやつなんか吸えたもんじゃないな」
そんなことをボヤキながら、ひと月で1缶を巻き上げる。
8月1日現在の税込み価格$38.99。
州政府のホームページによると、
手巻き用たばこの税率は卸価格の75%というとんでもない数字だった。
酷税。
<最後のたばこ缶>
アホらしくてやっとられん。
おもちゃでもあるかのように弄ばれる。
もうやめます。
禁煙ではなく、断煙・絶煙でもなく脱煙。
どちらにしたってたばこを吸うのはひまつぶし。
心も、身体も以前ほどには欲さない。
ここまでいじられ、いじめられ、バカにされるなら、
脱煙という心地いい世界へ行く。
すべてがトントン拍子で上昇するが、収入は?
収入といえば、MTA(NY市交通局)はこんなことを言う。
「30日パス利用者の平均年収は$60,000以上ありますから……」
30日間乗り放題のパスを$89から$109にしようと目論む。
さてさて、どこでこんな数字を手にいれたことやら。
券売機?
クレジットカード?
なんだか空恐ろしい。
ちなみにぼくの収入はその数字からロッキー山脈を超え、太平洋の彼方500kmあたり。
ともあれ、あと一月ほどで脱煙。
たばこで手に入れていた<間(ま)>をどうするか?
それが当面の問題。
Mちゃん主宰の祭りが近々開催される。
九州・中国地方の人是非行ってみてください。
『2010フルムーン・ギャザリング』
日程:2010年8月24日~29日(満月の週末を含む)
開催地:佐賀県唐津市神集島
「……しかしながら為政者のなす所を見るに、酒とたばことには税を課してこれを人に買わせている。法律は無益の行動を禁じていない。繁殖を目的とせざる繁殖の行為には微税がない。人生徒事の多き中に、避妊と読書との二事は、飲酒とたばことに比してすこぶる廉価である。避妊はさながら選挙権の放棄と同じようなもので、法律はこれを個人の意思に任せている……」
永井荷風『西瓜』
ニヤつきながら茶袋をを渡す。
(脱藩者……)
いい大人だけど、真剣に幕末ごっこなんかをやっててもまったく不思議じゃなく、
違和感なしで似合ってしまうMちゃん。
開けてみるととフンドシだった。
最近は久留米絣を使ってこんなものまで作ってるらしい。
脱藩ではなく脱パン(ツ)。
「リンパ腺ば締めつけんけん身体にもよかばい」
今年3月、日本でのひとコマ。
親友。サーファー。祭男。洋服屋。
フンドシまで作りはじめたMちゃん。
(おいおい、またまた釣り銭間違えやがって……。
何ドル札を貰ったかちゃんと確認せんとねー)
呆れと余裕を目にためてレジに立つ男を見上げる。
しばし沈黙の後、
まったく同じ視線が返されてきた。
指のさす先にあったのは。
つい今しがた渡された商品の値札。
(ゲっ……。また上がってる……)
できることは釣り銭をポケットにねじ込んで店を出るくらい。
Cigarette(紙巻たばこ)の地方税が上がったことは知っていた。
こだまする「まさか……」。
長い間、アンタッチャブルだったのに。
昨年、正月明けの日本から帰ってみると、
手巻き用たばこに連邦政府の手がついていた。
税込み$14だったものが25ドルに。
帰国していきなりの衝撃はでかい。
その上、年内にあと一度お手つきがあり$30。
<2年くらい前のものが貯金箱に>
(このアンタッチャブルにそう易々と州が手をつけるはずはない……)
頭を離れない。
今ではがめつそうにしか見えない、たばこ屋の苦笑も焼きついてしまってる。
(あの野郎、便乗しやがったかな?正直に生きようよ
)
6月の中頃から増税のニュースを何度も聞いていたけれど、
一度だって"Hand Rolling Tobacco"という言葉を耳にしてはいない。
疑心暗鬼。
2010年7月1日よりCigarette税増税。
州税:$4.35+NY市税:$1.50=地方税合計:$5.85
これに連邦税として$1.01、消費税、メーカー側にも課税されている。
$13の煙。
肺に入って出てくる白い煙くらいが税金だろう。
近々連邦税がまた上がるというニュースもあり、
手巻き派必需品の巻き紙、フィルターなど、たばこ関連商品税も上がるという。
喫ってるのはTOPという缶入りたばこ。
「内職してるみたいだな。工賃と考えたら巻かれてるやつなんか吸えたもんじゃないな」
そんなことをボヤキながら、ひと月で1缶を巻き上げる。
8月1日現在の税込み価格$38.99。
州政府のホームページによると、
手巻き用たばこの税率は卸価格の75%というとんでもない数字だった。
酷税。
<最後のたばこ缶>
アホらしくてやっとられん。
おもちゃでもあるかのように弄ばれる。
もうやめます。
禁煙ではなく、断煙・絶煙でもなく脱煙。
どちらにしたってたばこを吸うのはひまつぶし。
心も、身体も以前ほどには欲さない。
ここまでいじられ、いじめられ、バカにされるなら、
脱煙という心地いい世界へ行く。
すべてがトントン拍子で上昇するが、収入は?
収入といえば、MTA(NY市交通局)はこんなことを言う。
「30日パス利用者の平均年収は$60,000以上ありますから……」
30日間乗り放題のパスを$89から$109にしようと目論む。
さてさて、どこでこんな数字を手にいれたことやら。
券売機?
クレジットカード?
なんだか空恐ろしい。
ちなみにぼくの収入はその数字からロッキー山脈を超え、太平洋の彼方500kmあたり。
ともあれ、あと一月ほどで脱煙。
たばこで手に入れていた<間(ま)>をどうするか?
それが当面の問題。
Mちゃん主宰の祭りが近々開催される。
九州・中国地方の人是非行ってみてください。
『2010フルムーン・ギャザリング』
日程:2010年8月24日~29日(満月の週末を含む)
開催地:佐賀県唐津市神集島
「……しかしながら為政者のなす所を見るに、酒とたばことには税を課してこれを人に買わせている。法律は無益の行動を禁じていない。繁殖を目的とせざる繁殖の行為には微税がない。人生徒事の多き中に、避妊と読書との二事は、飲酒とたばことに比してすこぶる廉価である。避妊はさながら選挙権の放棄と同じようなもので、法律はこれを個人の意思に任せている……」
永井荷風『西瓜』