10月に読了した2冊目の本の紹介です。

独断と偏見で書いた読書評の様なものです。

文中は敬称略としました。

 

 

2022.3.5 初版第1刷発行となっております。

山と渓谷社から発行された文庫本です。

これは2010年に昭和堂から発行された単行本の

「ぼくの生物学講義ーー人間を知る手がかり」を

改題、再編集して文庫本にしたものです。

内容は著者が京都の大学で行った13回の生物学講義の内容を

書き起こしたものです。

 

著者の日高敏隆(1930-2009)は東大の理学博士で

日本の動物行動学の先駆者として世界的に活躍して来ました。

著者の本はこのブログでも何度も報告しております。

難しい理屈を述べるより、いかに一般人に理解して貰うか

判り易い文章の著書でした。

訳者としても有名で動物行動学の先駆者コンラート・ローレンツ

の「ソロモンの指環」などが知られています。

 

【人間が変な点】

①顔の向きと脊柱との角度

脊柱を真っ直ぐ立てても顔は前を向く。(これは一部の類人猿でも)

殆どの獣は脊柱の方向と顔の向きは同じです。

人類の直立歩行(二足歩行)のなせる業です。

 

②体毛が殆ど無い

頭や脇の下や陰部に少し残るが何故残っているかは未だ不明。

 

③言葉を喋る。

言葉とは全て概念の記号であり、共通認識があるから通じる。

物を見た時に発する言葉は必ず「主語+述語(動詞)」となっている。

 

④人間には結婚制度がある。

結婚制度は親の財産分与と子供の地位(素性)の明確化の為に

人が考え出した制度です。

 

⑤フィーメイルチョイス(メスによるオスの選択)が無い。

生物界では殆どの場合メスが優秀なオスを選ぶが人間界では逆になっている。

 

 

生物が生きる意義は次の2点と考えられている。

①種の維持:DNAの連鎖、維持活動

②個の保全:個体が傷付かず生き抜く

 

この他生物の本能と学習に関しても面白い話が多かった。