僕の絵本をプロの方に講評していただきました。的確な指摘がとてもありがたいです。


「まちがいだらけのカウボーイ」作品講評


話が長い、空気が読めない、間が悪い、見栄っ張り・・・という、「まちがいだらけ」のカウボーイの奇想天外な冒険をテーマとした絵本を拝読した。この主人公、格好こそそれらしいのだが、趣味は珍獣とこけしのコレクション、好物はイカ玉のお好み焼きとおにぎりとプリンの「オリエンタルセット」、所構わず煙草を吸って吸殻はポイ捨て、しかも肝心の腕っ節はすこぶる弱く、闘いを挑んだ相手にはことごとく負けてしまうという設定。そんな西部劇のヒーローとは程遠いカウボーイが、海賊船の船長になるまでをゆるいタッチで描いた脱力系の作風となっている。

本作品の特徴は、なんといっても多彩なキャラクター造形であろう。どう贔屓目に見ても冴えない主人公をはじめ、鈍重そうなペガサス、いかにも悪役顔の人面魚、地上最強だが無表情なナオフィーと、インパクトのあるキャラクターが次々と登場する。いわゆるキモカワ系の外見なので中には恐がってしまう子どももいるかもしれないが、全体のコミカルな雰囲気によって次第に親近感がもてるのでは、と予想される。特にナオフィーは、強いだけでなくカウボーイの本当の気持ちを思いやる優しさを兼ね備えた存在で、名実共にリーダーに相応しい。果たして我らがカウボーイがナオフィーを超える海賊王になれるかどうか疑問だが、両者の再会にちょっぴり期待したくなる。

ストーリー面に注目すると、話がダイナミックに動き出すのは中盤、ナオフィーが海賊を始めてからである。それまでは、主人公のプロフィール紹介が延々と続いており、いささか間延びした印象を与えているのが惜しい。例えば人面魚やこけしとのエピソードは、本筋との関連性が薄いように思う。どちらも後半に登場しないこともあり、削除するか、もっと簡潔にまとめる方が良いだろう。また、宝物までの関門を守っている番人たちについては、対象となる読者層を考慮すると見直しの余地がありそうだ。アブノーマルなところを強調するより強くて恐ろしいことをアピールしておかないとナオフィーの凄さが伝わってこないし、主人公が彼らを手下にするメリットも薄れてしまう。同じことが三回繰り返されるのも冗長なので、すっきりさせたいところだ。絵に関して言うと、ユーモラスな味わいが醸し出されているのは確かだが、ページによって仕上がりにムラがあるのが気になった。下絵だけの部分、未彩色の部分をぜひ完成させて、ナンセンスなギャグが満載の「AI-DAワールド」を構築してもらいたい。細かい点では、「じんめんぎょせんたい」とのバトルにおいて戦隊モノらしさをもっと出すべきではないかと感じた。身体の色ではレンジャーを髣髴とさせるものの全員が同じ顔というのでは物足りない気がするからだ。

以上踏み込んだ部分にまで指摘が及んだが、作者の発想力、創造性に鑑みてのアドバイスと前向きに受け止めていただけると幸いである。決して格好良くはないけれど、憎めない主人公であることは間違いない。なんだかんだで船出したカウボーイ一行を応援したくなる作品であり、より良い形での
書籍化が実現することを願っている。


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