先日,とある雑誌の編集長さんのツイートを見ていたら,「アルバイトを誌上で募集したのに誰も応募してこなかった。本が読まれていないことがわかった」と嘆かれておりました。ウェブでの告知はせず,本当に雑誌のみの募集だったとのこと。本当に本を読んでいる人にきてもらいたかった,という狙いがあったそうです。


うーん。なかなか,考えさせられます。


私なりの解釈では,この編集長さんは「雑誌を隅々まで読むくらい,本を好きな人に来てもらいたかったが,しかしそういう人は極稀のようで残念だ」ということをおっしゃりたいのでしょう。


確かに電車の中で漫画雑誌を読む学生,サラリーマンはいくらでもいますが,全部は読んでないですからね。興味の無いページはバシバシ飛ばしてます。ましてや,漫画雑誌で文字の比率が多いページなどガンガン読み飛ばされてるような気がします。まあ詳細に観察したことはありませんけどね。


翻って同人誌。雑誌と同人誌じゃ性格が違いますし,単純に比較はできませんが,それにしても,自分の興味のあるページしか選択しないという読まれ方をされる本がこの世界には存在するという事実は,同人誌という本を作る側にしてみればそれなりに深刻な問題だと思うのです。


かと言って,作り手にできることはそう多くありません。読者の側に読み方を強要するわけにはいきませんから。できることは,隅から隅まで読まれても恥ずかしくない,誇れる出来になるよう本の作成に最善を尽くすことくらい…かもしれませんね。


冒頭のアルバイト募集の話に戻れば,この編集長さんの方針は全くもって正しいでしょう。そのくらい本が好きでなきゃ,本を作る仕事に関わることはできないし,関わるべきではありません。「隅から隅まで読まれても恥ずかしくない出来」にすることができるのは,本当に本が好きな人だけ。…私も精進しないといけません。