ピアノ椅子修理担当の伊藤です真顔

 

このたび兵庫県から椅子が送られてまいりました。

(事前に受け入れ了承済み)

 

今回は座面破れと全体に椅子の塗装に問題があるとのことで、

弊社は塗装設備が無いので簡易的な塗装しかできないのと、全面塗装の場合はお近くの塗装ができる工房等に出すことはできるのですが、新品買える値段になってしまうので、基本、塗装のご依頼はお断りしているのですが、

 

今回は簡易的な塗装でも構わないとのことを事前にご了承いただきましたので

送っていただきました。

 

しかしご連絡いただいた時点で既に梱包された後だそうなので、本当に受け入れできる状態かは実際に見てからの判断になるのですが・・・

送っていただいたからには・・・やるしかないですよね。

 

ということでドキドキして開梱です。

す、凄いガッチリ、ピッタリサイズの梱包です。
 
 
かなり開封に時間かかりました。
椅子は無事です。

 
椅子の状態の確認です。
全体に木部の塗装の剥げが見られます。
高さの調整は可能なようですが、少し高さを変えるときの動きがスムーズではないですね。動きにくい。

 
座面の破れあり

 
椅子木部の角という角が、かなり塗装の剥げが目立ちます

 
 

 
 

 
 

 
 

 
角剥けだけでなく、平面の凸凹も多いのと、範囲が広範囲・・・いや、全面ですね。
いくら角を筆で塗るだけでは済まないんでは・・・と。
 
いや、それよりも本題の座面破れの方を確認いたしましょう。

椅子をひっくり返して、ネジを外します。
 
こちらが座面の裏側です。
ほぼ綺麗だったので安心しかけたのですが

 
 
あっ、画像一番下のネジ穴が崩壊しかかっております下矢印

ここは椅子を上下させる時のツマミ(取っ手)を取り付ける箇所です。
一番負荷がかかるネジ穴です。
 
まだギリギリ補修でいけるか?
いや、でも補修だとその場しのぎ程度になる可能性が高い。
 
送料かけて送ってもらって、座面は張り替えたとしても、すぐに壊れては元も子もない。
椅子は色んな方が使われる状況だとお聞きしていますので、座面は交換した方が安全と判断いたしました。
 
 
となると、座面の塗装がピッカピカキラキラで、椅子本体が傷だらけ過ぎると違和感が出てしまいます。
 
椅子の塗装はできる限り綺麗に仕上げねばなりませんが、全面スプレー塗装にすると
吹き付けては乾かして、研磨して、の繰り返しになるのが目に見えています。
 
スプレー缶での全面吹き付けは、全体の塗装剥がしと研磨が必要になり、また面が多すぎるので、組み上がった状態での吹付では絶対塗料が垂れて綺麗に仕上がるまでには何度も繰り返しスプレーして乾かし、研磨して、また吹き付けての作業になるので埒があきませんし、そこまで時間かけたとしてもスプレー缶の塗料の濃さでは完全に綺麗に仕上がらないのです。
 
悩んだ末、筆塗りでどこまでできるかやってみることにいたしました。
 
しかし、ラッカー塗料は揮発性のなので臭いの関係で室内作業はできません。
が、今は梅雨時。明るい時間で私の作業時間が取れる日でなければならず、なかなか作業が進みませんが

とにかく木部の塗装剥げを塗った後、できるだけ元の塗料との境目を目立たなくする作業をしております。
 

しかし全面ボロボロ&凹凸だらけの状態に、まだ仕上がりまでのゴールが見えていない状況です。
それに新しい座面と椅子金具の調整はまだこれからですし、椅子金具の動きが鈍いのも、もう少しじっくり検証せねばなりません。

 

もう少しお客様にお待たせになります。
すみません。天気のこともあるのであと何日とは言えませんが
もう少し作業時間をいただきたいと思います。