今日も小学校のよりそいボランティアに行って来た。
ここ何回かは少人数クラスに行っていたから、以前の休憩時間に鬼ごっこをした〇〇君の授業中の姿を見るのは久しぶりだった。
随分落ち着いてきていたように記憶していたけれど、教室に入って驚いた。
後ろの扉の足元で寝転がっていたからだ。
あー、振り出しに戻っているのかと残念に思いながらも、
机はどこ?
おばちゃんのこと覚えてる?
うんと頷きながら自分の席につく。
隣に座る。
2桁のくり下がりのある引き算の授業だった。
周りの子を見ると、黒板に書かれた問題をノートに書き写して解いていた。
〇〇君も書こうか、と声をかける。
しかし、自分の手が虫刺されか何かで痒いらしくて、そればかり気にしている。
ふと席を立ったので後を追うと、廊下の水道で手を洗い始めた。
これはチャンス。
手を拭いた後、たまたま持っていた絆創膏を貼ろうと思った。
かぶれないかと気になったが、大丈夫というので貼ってみる。
これでもう掻かないだろうか。
授業に集中出来るかと期待したけれど、次は小さなねり消しのようなもので遊び始める。
ねぇ、お勉強しようよ。
ここで一度レイキを流してみようと思った。
こねこねと消しゴムで遊ぶ小さな背中に手を当ててみた。
が、おばちゃんの背中も撫でてあげようかと返される。
失敗だったか…。
あきらめて
一問だけノートに書き写してみた。
これはどう?
2から4は引ける?
引けない。
じゃあこっちから10を借りてきたら、
1の位は何になる?
両手を使って計算している。
あー、そうか。
分からないから授業に参加できないんだ。
みんなについていけなくてもいいから、今日はこの一問だけ自分の頭で考えて、解けるようになって欲しい。
様子を見ながら、声をかける。
問題を解き終わった隣の席の女の子がやってきた。
〇〇君のノートに問題を書き写して、答えも書いて、赤鉛筆で丸までつけてくれた。
私が一問書き写したのを見ていたからなのか、
それとも女の子は自分は解けるよ、のアピールをしてくれたのか。
それとも日頃からこのように「お世話」をしているのだろうか。
担任の先生は新採用の女の先生。
一生懸命授業をしているが、子どもたちの自由さは制御できていないような印象だ。
その後も自分で問題を解くことなく1限目は終了。
2限目の国語「たんぽぽのちえ」も集中できないまま終わる。
3限目は体育館に移動しての学年全体での「シャトルラン」
走るのは早いから、喜んで授業に参加するかと思ったが「体操服忘れ」で見学となる。
隣に座っておとなしく見学できるように声をかける。
抱っこしてみたり、膝の上に座らせてみたり、〇〇君とのスキンシップの時間のようだ。
準備体操をして、先生からの「音楽が鳴ったら走ります、次の音楽で戻ってきます。
最初はゆっくり走りましょう。」などの説明の後、ふたつのチームに分かれて走り始める直前、〇〇君は私に「この線から前に出たらあかんで。みんなが走ってくるから危ないで」
と教えてくれた。
分かってるんや。
ちゃんと先生のお話も聞けてるんや。
なのに何故じっとしていない。
寝転がる。
背中で進んでモップみたいになるの…。
甘えたい。
自分のことだけ見ていて欲しい。
構って欲しい。
ひしひしと伝わってくる。
よりそいボランティアの役割は何だろう?
子どもたちの現状をどう受け止めて、どう行動することが求められているのか?
どのクラスに入っても考えさせられることばかり。
校長先生は「長い目で見て頂けたら」とおっしゃる。
子どもたちの元気さや、可愛らしい笑顔に触れ合えてしあわせな気持ちになる一方で、なんだかなぁとの気持ちにもなって毎回帰宅する。
午後。
出かけた先で下校中の小学生たちに会った。
信号待ちの間、向こうから手を振る男の子がいた。
午前中を一緒に過ごした〇〇君だった。
教室を離れても覚えていてくれたんだ。
嬉しくなった。
「お帰り。
また行くからね」
笑顔で手を振って別れた。
元気が出てきた。
また来週、行くね。