私が関与先であるK会社の民事再生法に基づく企業再生計画に初めて取り組んだ経験談をお話ししたいと思います。

 

 ある日突然、K会社のS社長から「谷川先生に重要な相談がある」と電話で本社に呼び出されて、出向いて行くとS社長からこんな言葉を耳にした。
 「当社は宅地造成事業に行き詰って、先行きが危ない状況になってきた。生き残る方法を考えて欲しい」との発言であった。

 私も以前からK会社の財務状態は宅地造成が遅延したため悪化しているのは把握していたので、これはS社長の最後の決断であると私は判断した。顧問弁護士に相談するために同行し、担当弁護士2名と詳しく打合せの結果、民事再生法に基づく企業再生で生き残りをかける方法を選択したのであった。

 私にとっては未知への挑戦であるこの仕事で最初に取りかかったことは、K会社の資産・負債の実態調査のためS社長から聞き取りや必要資料収集と整理を行い、一つ一つの債権や債務及び担保状況を調査して一覧表にまとめ上げて過剰債務改善(不動産、株式、会員権売却など)と経営改善(不採算事業の撤退、不採算店舗の廃止、人員整理、人件費削減など)を基にして、顧問弁護士との詳細かつ綿密な打合せを実行しながら、再生計画案を策定することであった。
 
 顧問弁護士の方から裁判所への民事再生手続開始の申立てにより再生手続開始決定が承認され、再生債権の届出、調査、確定など必要な手続が行われた。

 それに並行して私は担当弁護士と打合せしながら再生計画案と再生収支計画書、資金繰り計画書(短期、長期)などを作成した。
実に6ケ月にも及ぶ作業であった。

 その後裁判所に再生計画案などを提出して債権者集会によりその案は可決され、そしてその可決された再生計画案は裁判所の認可を受け、それに基づきK会社のS社長や幹部社員と私や顧問弁護士とで一致協力して遂行しながら再生手続の終結に至ったのである。

 それらは私にとっては初めての体験で、大変苦しい思いをしたが、今はこの案件に勇気を持って挑戦して良かったと思っている。
 現在はK会社は見事に再生して生き残り、S社長も退任され長男が社長として立派に会社を引き継がれている。
 

 本案件に関して私が最も皆様にお伝えしたいことは、仕事などに関してまだやったことのない未知の事案が発生しても、尻込みしないで果敢に挑戦していって苦労することの大切さを知り、それらを経験して達成感を味わい、自信につなげて一回りも二回りも大きく成長できるということである。
 それが将来いろいろな面で生きて成果(結果)を出し続けられるのである。
       

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