当日は藤井貞和先生はじめ、かつての藤井源氏講座で学ばれたM氏、また前々日に昭和女子大学女性文化研究所特別賞の受賞式に出席された上村先生ご夫妻も駆けつけてくださいました。

 

山本ひろ子先生による〝藤井源氏論のゆくたて―薫コンプレックスの出現をみはるかす(提題に代えて)〟では藤井先生のお仕事を丹念に追われて、どのように「阿闍世王コンプレックス」が藤井先生のなかで生成してきたか、「精神分析学」的アプローチに物語文学がどう答えうるかという格闘の道筋をたどられました。

その中で、かつての寺小屋教室での学びの大きな柱の一つにフロイトにはじまる精神分析学があったこと、ドイツ語での原典講読があったこと、また山本ひろ子先生の関心はむしろフロイトから離反した弟子たちの仕事にあったことなども伺いました。

また、今回藤井貞和先生から当時の阿闍世王説話関連の資料一式を送られて、藤井先生が『大般涅槃経』『観無量寿経』、親鸞の『教行信証』や近角常観の『懺悔録』など関連する資料群を何十年もかけて読んでこられたことの迫力を目の当たりにされたことなどもお話されました。

 

藤井貞和先生からは、安川洋子氏の論考がまともに取り上げられたのは今日のこの場が初めてだということ、故安川氏もこの場に集っているのではないかとの感想も述べられていました。

M氏は報告を聞きながら、かつての寺小屋では藤井さんや山本さんが色々な資料を出してきては、どうだ、どうだと議論をするなかで、安川さんの論も生まれてきた。かつての寺小屋とはそういう場だったと思い出されたとのこと。

藤井先生の、『源氏物語』を、物語の外側もみてゆこうということ、物語にもののけ、外に仏教的世界、さらに神の世界が拡がる。「夕顔」は物語の中では死んでしまったけれど、物語の外では生きているというようなことを言って、考えてきた、というご発言も示唆に富んだものでした。

 

山本真之介、宮崎優毅の報告はさらに今回の議論を踏まえて、8月にも論点を深めて研究発表会で報告する予定です。

 

懇親会では…

乾杯のあとに、ささやかながら寺小屋から上村千賀子先生へお祝いの花束を贈呈。

 

 

伊勢大神楽師として日々研鑽を積んでいる山本真之介さんの笛の音には、

一段と上手くなった!

さすが実践で鍛えているだけある!

とその音色の変化を驚き、拍手を送りました。

 

お手製メニュー表もすっかり定番に。

毎回、テーマにあわせて趣向を凝らした料理でおもてなし。

 

〝人形=ヒトガタ〟はいざなぎ流の御幣へのオマージュ。

 

器やディスプレイにもひと工夫。

 

ご参加いただいた皆さまありがとうございました。(了)