「大神楽巷談 其の壱」(その3) 山本真之介

 

 シクの話に関連して、「白獅子(シラジシ)」にも触れておこうと思います。神来舞の段数が長くなると、最後に獅子が幕をめいいっぱいに広げながら頭を振り乱して暴れ回る「白獅子」というパートが組み込まれ、大きな見せ場となっています。はたしてこの「シラ」とは何なのか。そもそも獅子が赤の頭と青の胴体をしていることからも、いわゆる白色として直接的に理解されるものではないと考えられます。「シラ」は「修羅」であるという話も聞いたことがありますが、こちらの方がすんなり理解できます。あるいはより広く民俗学的なテーマの「白」として、他の舞踊や民俗芸能等における「白」との比較をすることが目指されるでしょうか。なお、神来舞から白獅子に移る箇所には「セメ」と呼ばれる転調のパートがあります。

 

 

以上、天木綿筒命と神来舞を中心に伊勢大神楽の内容を紹介し、気になったポイントをまとめてみました。はたして上記の内容はどのように読み解くことができるのか、諸賢のご見解を請うことができればと存じます。(了)

 

「屋根裏通信」31号(成城寺小屋講座 2024)より転載