「伊勢大神楽〝入門〟体験記」(その1) 中條真之介

 

私はこの3月に大学院の修士課程を卒業するのですが、縁あって伝統芸能の伊勢大神楽に入門して働くことになりました。昨年の2月に体験入門に行った際に大学を出てから組に合流することが決まったのですが、修論や大学の授業も既に終わっているので1月下旬から巡業に加わっています。

 

伊勢大神楽は関西圏を中心に歩きながら檀家(だんか)を回り、それぞれの家の前で獅子を舞うことを主とする芸能で、日によっては町や村の中心などで放下芸(ほうかげい)も加えた一連の芸を披露する総舞を行うこともあります。ここでは近況報告ということで、年間スケジュールと1日の活動についてご紹介します。

 

巡業の途中で、獅子を休める

 

伊勢大神楽の講社には現在5つの組があり合計で約40人の大神楽師が所属しているのですが、組ごとに受け持ちの町や村を分担して巡業をしています。そして私が入門した山本勘太夫組では1〜4月に滋賀県(近江)、7・10月に大阪府(和泉・堺)、8〜9月・11〜12月に岡山県(備前・備中)で活動しています。ちょうど今は8人で滋賀県を回っていて、湖南市の宿を拠点としつつ守山市を中心に巡業を行っています。ちなみに5〜6月は梅雨の時期ということもありオフシーズンで、年間だとおよそ8ヶ月にわたる期間を歩いて過ごします。(つづく)

 

「屋根裏通信」26号(成城寺小屋講座 2023)より転載