遅ればせながら、全国を1単位とする、超大選挙区比例代表制を採用している2019年の参議院選挙比例区の分析をする。今回は定数50名でした。
今回の選挙で私が分析した表を文末に提示します。

①定数50では、個人を選べない
 投票は個人名でも政党名でもできる。そこで、どれくらい個人名で投票しているか見る。政党ごとに「(c)個人名での得票数」を「(b)政党得票総数」で割った「(d)個人得票率」は 平均25.0%である。
 一番高いのは、「れいわ新選組」の46.2%であるがこれは、 山本太郎氏が一人で個人名投票1番の992,267票、有効投票数全体の2.0%を獲得したことが大きい。次は、「国民民主党」の37.5%である。これは、労働組合が自分が所属する組合の候補者に投票した結果だと分析できる。
逆に一番低いのは「共産党」の9.6%である。
多くても3分の1、少なければ1割以下の人の投票で決まるという矛盾した選挙制度だと私は判断します。
さらに、1人で当選に必要な有効投票数の2%を確保したのは山本太郎氏(特定枠のため落選)だけである。
比例選挙は政党投票が基本だから個人を指定しないで投票する人が多くなるという意見もあります。しかし、1947年から1980年まで、参議院議員通常選挙で行われていた全国区では、全国一選挙区で個人名で投票する選挙を行っていましたが、その時も個人が特定できず、有名人か長老やその地盤を引き継いだ方の当選が多かったことから、超大選挙区では個人を選ぶには、有権者が負う「情報コスト」が高すぎるといえます。
 
②著名人を使っても票を集められない。
 だれを著名人とするか分かれる所であるが、複数の新聞等を見て私が著名人と区分した。著名人に限らず現職の方はその知名度と地盤で票を集めているようである。新人で著名人で当選したのは、〈元〉格闘家の須藤元気氏(立憲民主党)だけです。しかし、得票票は全有効投票の0.1%、立憲民主党の得票数の0.9%と非常に低い。各政党は、本当に代議士にふさわしい人を選んでもらい著名人だからと言って数合わせのため立候補させるのは止めて欲しい。
 
③自民党の一人勝ちを抑える方向に有権者は投票している
 表の欄「(g)政党得票率は政党支持率の何倍か」を見てわかるように世論調査の政党支持率より得票率が低いのは自民党だけです。他の政党は、2.5~7.5倍となっています。世論調査の政党支持では、「支持政党なし」と「わからない、無回答」を合わせて42.3%もいるのでこの数字が通常1倍以上になるが、自民党のみ1倍以下となるのは、小選挙区での自民党の大勝が判っていたので抑える方向に働いたと考える。
 
以上、あまり語られることがない私の分析でした。