3D全盛の映画業界。
『アバター』からはじまり、『アリス・イン・ワンダーランド』、『トイ・ストーリー3』と記録的な興行収入をたたき出しているのは、すべて3D作品である。
実際、3Dはエンターテインメントとして素晴らしい。
それまでの『大きなスクリーンで観る』という映画館の漠然とした価値観を、『アトラクション感覚で体験する』という明確な価値観へと移行させたのだ。
そんな映画業界の大きな流れは、観客をいかにして楽しませるかというシンプルな思いが実を結んだ結果である。
幼い頃、両親に連れていってもらった映画館。
中学時代、大勢の仲間と一緒に自転車を走らせていった映画館。
高校時代、彼女と初めてのデートでいった映画館。
様々な思い出の中に映画は必ず登場してきた。
しかし、家庭用ビデオやDVDの普及によって、映画館離れが進む。
多くの小規模映画館が姿を消し、シネコン(シネマコンプレックス)という複数のスクリーンを持つ大型映画館が各地にできるようになる。
同時に革新的音響システムの導入などを経て、ついに3D時代へと進化を遂げる。
映画は『身近な娯楽』から『商業的エンターテインメント』へと変わったのだ・・・
時代は流れるものである。
そして、それに対応して変化することは決して悪いことではない。
『流されて生きるより、流れるように生きる』
常に能動的な変化こそが停滞する環境から活路を見い出すことができるのだ。
『ニュー・シネマ・パラダイス』という名作といわれる映画がある。
小さな村の小さな映画館を舞台にしたイタリア映画だ。
主人公の少年時代や青春時代を通して、映画への愛情を描いた感動作である。
スクリーンの中の古き良き時代は、自分の思い出に通じるものがあった。
ハードの進化によって失いつつある映画館をとりまくノスタルジーは、ソフトとして映画の中でいつまでも生き続けていくのだ・・・
映画は本当に奥深いエンターテインメントである・・・
そういえば、最近映画を観ていない。
たまには観にいこうかな。
3D映画は飛び出すらしいから・・・
ポップコーンはやめておこう・・・