きよみは、私がサクラ生命退職まで唯一心を許していた先輩だった。
私は仕事の時間の殆どを、仕事の時間として使っていたので(当たり前なんだけど、この世界じゃ当たり前じゃない)、お茶を飲んで愚痴を言い合う友人はいなかった。
だから、ペア活動(二人で営業をして、契約は折半にする事)をしていたきよみとだけは色々話が出来た。
しかし、今思うときよみがいたから、私に近づくものはいなかったのだ。
それに気が付いたのは今の会社に入社してから。
遅すぎた...。
一緒に活動していた10年間、私はいろいろな面で利用されていた。
それに全く気が付かなかったのは、きよみが人を騙すのが上手いからなのか、私がただアホなだけなのか...。
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そのきよみの日常的な営業方法は、 「年齢詐称&家族詐称」 である。
きよみは私の15歳上なので、現在50歳。
しかし、30代の頃から8つさばを読んでいた。
まぁ、女性だし、本当の年齢を言いたくないのは分かる。だから、さばを読んでるのはまぁいい。
でも、きよみはず~っと独身(バツイチ)で通っているのだ。
旦那さんはしっかりいるし、大きな子供が2人もいる。
でも、ちょっとお金持ち風の男の人と知り合いになると、上の子供の事は言わずに、下の子供の事だけ話し、加えて身障者の妹の世話をしているから再婚も出来ず、一人で頑張っていると、言うのだ。
そのおかげで、20万もの大金を貰ったり、「女性なんだからブランドの鞄の一つも持ちたいでしょう?」と、ヴィトンの大きな鞄を買ってもらったりしている。
いつもそのヴィトンの鞄と、古臭い安物の営業鞄の2つを持ち歩き、相手によって変えるのだ。
その様子をリアルタイムで見ていた私は(お客さんには会った事がない)、年をとっても魅力がある人なんだなぁと、きよみのような年の取り方がしたいと憧れていたのだから救いようのないアホ。
もちろん、体の関係があるとかないとか、そんな話は全くしない。
「この間お客さんに突然、20万円分のプレゼントをあげるって言われて、欲しい物がないって言ったら、20万円振り込んでくれたのよ~!!いいお客さんでしょう?」
「この間、ヴィトンのお店に行って好きな物選んでおいでって言われて、娘と二人で私は鞄、娘は財布を買ってもらったの。娘にまでくれるなんて優しいでしょう?それも、下心があるわけじゃなくて、私達は物色しに行って、欲しい物をメモして渡したら次に会ったときにくれたの。下心があったら一緒に行ってその後ホテルにでも誘われると思わない?そういうのは全然ないのよ。」
「この間、○○会社の部長さんから、野球のチケットをペアで貰ったの!娘と一緒に行きなさいって!下心があったら二人で行こうとか言うよね?だって、すっごく高い席で、○○席なんだよ。(私が野球に興味がないので内容を忘れました)それを娘と二人でって2枚くれたんだから凄いよね!」
本当に貰うわ、貰うわ!
そんなお客さん、どこで知り合うのよ。
どこで知り合うのか聞いても、「地区の人」とか、「お客さんからの紹介」って言っていたんです。
本当の所は、後になって分かったのだけど、その頃はきよみの言葉は全て信じていましたから、素直に
「いいなぁ~。私もそんな人と知り合いになりたいわ。」
って言いながら、羨ましがっていた私は本当に馬鹿でした。
どうやって知り合っていたのかは、又後のお話で...。