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掌編・『認知症』
 
 
 人間界にある、普遍的な慣用句の、?、「バーカ」とか、「阿保!」とか言う言葉は、「ジーザス!」とか「ガッデム!」という言葉の在り方に似ているかなあ?
 
 65歳で、心療内科で「若年性アルツハイマー」の疑いがある、と、今日言い渡されてきた、早野凡平氏は、ぼんやり考えていた。
 
 うん、そうだ。おれは前々から何となくそう考えていたんだ。ツッコミの間投句だが、いわゆる正真正銘の、誰もが知っている”フールオンザヒル”、そのことを暗に共通の了解事項としたうえで、「お前はチャーリーゴードンそこのけやな」と、会話の間繋ぎというか、潤滑油みたいに、「バーカ」という。要するに人間ではあるんだが、我々と同じ人類と認めたくはない、そういう厄介者のことを、なんというか、排除する代わりにそうして、「平和利用」?しようという、そういう人類の智慧なのかな?
 
 今日は、「お前もうすぐ馬鹿になるぞ」宣告を言い渡されてきたばかりなので?凡平氏の意気は上がらなくて、自虐的というか、後ろめきな暗い発想に傾いていくのだった。ホモサピエンス、叡智人?意地の悪い言い方だ。じゃあ、ボケた奴は人類じゃないんかい?
 
 「Oh !  Jesus ! 」とか外人が言う場合、言葉に窮するような、不測の事態、みょうちきりんな出来事に遭遇したときに、「なんてこったい!」「畜生!くそったれ!」そういう意味で使う。やっぱり精神の危機に、正気やら平安のための普段の「信仰」を取り戻そうとしてそういうわけかな?だから、「バーカ」とか「バカバカしい!」とか叫ぶのも、一種の信仰だか宗教の帰依の延長の、精神のよりどころが口の端に上ってしまうわけで…
 
 「あなた!もう10分くらい納豆をかき混ぜっぱなしじゃないの!何を真剣な顔で考えているのよ!」
 
 女房が見かねて声をかけてきた。
 
 「いや、昨日医者で、アルツなんたらいう病気の初期かもしれんと言われてね。言わなかったかな?」
 「昨日からずっとその話ばっかしじゃないの!耳にタコできるわよ!ほんとにアルツハイマーね!もう末期じゃないの?w」