こんな時に飲みたいお酒

 

二十歳前後で、アルコールに親しみ始めて、かれこれ40年で、たくさんのエピソードや失敗談があって、複雑な、アンビバレントな感慨というか、酒というものにかかわる思いは、一言では言い表せない込み入ったコンプレックスになっています。

 

中島らもさんの「今夜、全てのバーで」という自伝的な小説は、自分がアル依存で長く苦しんで、あげく肝臓を壊して入院して、という、他人から見たら割と滑稽で悲惨な顛末を、かなり私小説風に真面目なスタンスで語ったものです。

 

その小説を読んだ頃は、自分にとって、ひきこもって幻聴のみに悩まされつつ、出口も見えずに苦しんでいた時代で、アルコールに逃避することだけが救いというころで、自身の身の上と重なるところが多かった。

 

そういう、らもさんの依存症の苦しみとか様々な人生の葛藤を、赤裸々に語っていて、いきおい暗く重いエピソードが多いのですが、中に、救いになる部分もあって、或る日にらもさんは、一つの美しい雰囲気の夢を見る。どこかの山深いお寺のようなところにこんこんと泉が湧き出ていて、みんなその聖水?を汲んで飲んでいるのだが、その綺麗な清らかな聖水が「理想的な酒」なのだ。で、瑠璃色をしていて、この世ならぬ美味。しかも体に良くて、二日酔いなどしないのだ。…

 

夢の中でらもさんは、やはりアルコールで死んだ別の友人に向かって、「おい、○○、これが理想の酒だ。ありうべき最高の飲み物なんだよ…」とか、語りかけるのです。

 

ボクは、別の小説サイトで、ペンネームを、キラキラネーム風にしていて、「夢美瑠瑠」というのですが、何の気なしにつけたその名前には、潜在意識の中で、この小説で読んだそのエピソードが、想起されていたのかもしれないな?、と、今気が付いた。

 

酒のせいでだいなしになった人生…そういう自覚もあって、失職も入院もアルコールが主たる障害物で…で、精神障害のリハビリ中、と今の境遇はこうである。

 

そこから立ち直っていかなくてはいかない自分にとって、いみじくも最も似つかわしいペンネームと言えるかもしれないなあ?

 

と、言いつつ、安酒を朝から飲んでいて、なかなか現実は茨の道が続いていくだろうが…

 

ポテチン。

 

 

 

 

 

 

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