サウナ通ったことある?
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そのサウナは、会員制で、ヘンな人物はいない…はずだった。
ボクはハタチの若者で、金持ちの御曹司である。
容姿も、「いかにもいいとこのボンボン」という美男で、細マッチョ。
会員制のサウナは、親のコネで、入会資格を得て、その日に初めて訪れた。
店の名称は「FIN」と言った。
サウナと言えば、フィンランド。それとフランス語の「終わり」をかけているのだろうか?
だが、実際のところは不明。
店内に入り、会員証をしめす。黒服?の青年が厳かなそぶりで案内してくれた。
風呂場?浴室?は、割と広くて豪奢なつくりで、すでに4~5人の先客がいた。
薄暗い浴室にはもうもうと湯気が立っていて、どういう先客かは判然としなかった。
低い声で話しているのが二人いて、少し遠くにいる。
あとは一人客らしいのが3人散らばっていた。
とりあえず、手近なところに腰を掛ける。全裸に腰布だけなので、銭湯以外にこういう風に赤の他人複数と「混浴」するのはかなりに目新しい体験だな?とか考えていると、2メートルほど離れたところから、中年らしい男が話しかけてきた。
「おひとりですか?ここは初めて?」
「ええ」
「私はね…」
男は、さる大会社の役員で、年間チケットを持っていて、しょっちゅう来るらしい。
サウナは老廃物を出して、新陳代謝や血行を促すので健康増進にはもってこいで、「それにあっちのほうにもいい」と、男は言って、意味ありげににやにや笑った。
いつのまにか、男は私のわきにピッタリ寄り添っていた。
、「あなたはハンサムですねえ。モテるでしょう?」
「いやあ。若いだけで…世間知らずの青二才だから…JKの隠語で言うと”ドーテイ”なんです」
<続く>