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 掌編小説・『映画の日』
 
 青年期には、僕は金沢市に住んでいた。所謂「加賀白万石」、前田利家とかのおひざ元だった大城下町の大都市だけに、其れなりに繫華もしている区画もあって、暇なときによく映画を観に行ったものです。
 それまでには映画館で映画を観たという経験は殆ど無くて、高校生の時には、文化祭とかで黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」や「エデンの東」を観た程度だった。
 両方とも名作らしくて、「感動した」という「事実」と、かすかなその時のムードとかは記憶しているのだが、具体的にはイメージもあらすじもすっ飛んでしまっている。
 僕が配信アプリで「推し」ている”あさみん”というライバーの女性はすごく映画に詳しくて、シネマに関する膨大な、該博な、知識、蘊蓄があるらしくて、どういう映画でも殆ど「既鑑賞済み」のフラグが立っていて?で、細かい場面まで 実によく記憶しているらしい。
 おれは馬鹿なので、「到底かなわないなあ」、と感嘆する感じでした。
 だいたいおれはエピソード記憶というやつが弱い脳で、やはり欠陥人間に過ぎないのだ。
 パパなのだw
 
 閑話休題。
 金沢市には映画館の立地が集中している一帯があって、それぞれが違うラインナップで上映しているからいつもかなりバラエティに富んだ映画を選べた。
 その時の新作や話題作もあれば、リバイバルの上映もあった。
 
 ここで観たのは「ゴーストバスターズ」とか、「バックツーザフーチャー」、「お葬式」、「エレファントマン」、「台風クラブ」、うる星やつら、角川作品、ロマンポルノ、「E.T」、「未知との遭遇」、「2010年」、「ネバーエンディングストーリー」、「インディージョーンズ」、「さびしんぼう」、「丑三つの村」…まだまだあったかもしれないが、どれもかなり細かく記憶に残っている作品が多い。
 
 村上春樹さんのエッセイに、「毎日映画館に行っていると暗い空間でスクリーンを眺めている時間と空間が何かかけがえのない特別な”秘儀”のように思えてくる」とかそういう表現があって、たしかに映画館でシネマに没入するというのは一種独特の、ユニークで豊穣で濃密な体験のできる時間という気がする。リアリティや迫力においては映画ほど刺激度の強いメディアはまあ見当たらない。青春期に観たシネマは恐らくどこかで僕の人間形成に大きなインパクトを持っている、与って力がある…に違いない。
 
 今までに観た映画でベストワンと思うのは、水野晴郎という映画評論家もそうらしいですが、マーガレットミッチェル原作で、ビクターフレミングという人が監督の、「風と共に去りぬ」です。
 これは津雲むつみという人の漫画を読んでいて、続きが読みたくなって図書館で借りて最後まで読んで、最後に「不朽の名作」と謳われているらしいシネマを観た。
 噂にたがわず、なんというかすごい迫力で、「シネマとはこんなに面白くて感動する芸術か!」みたいに心底感動した。ビビアンリーのスカーレットオハラは文字通り「紅蓮の炎」のようなキャラクターにぴったりはまっていて、鳥肌が立つようなシーンがいくつもあった。
(あさみんさんにこの映画のことを聞いてみたら話が弾むかもしれないナア) 
 
 昨日テレビを見ていると林真理子さんが、「中学校の時に「風と共に去りぬ」を読んで、あまりにもドラマチックな話なので、「自分の境涯と引き比べてなんて自分の人生はつまらないのだろうと思い、毎晩布団の中で泣いていた」とか述懐していたが、そこまで面白い話にはならないが、僕もクラークゲーブルのレットバトラーという人物像にはなんだか憧れを抱いて、「嵐のような接吻」とか、肉食人種は違うなあ、とエキゾチシズムと惧れ?のようなものを抱いた記憶がある。
 
 映画は「風と共に去りぬ」を嚆矢とする…
 この「嚆矢」という表現がいまいちわかりにくいが、「一番先に番えた矢」で、トップバッターとかポールポジション?そういう意味だったと思います。
 
 「こうし」て、私は「こうし」んを滞りなくすい「こうし」たのであった。
 
<了>