翌日、以前も同じ待ち合わせ場所だった阪急の駅前。そこで再会したM子は以前と同じく、華奢で可愛らしい笑顔で現れた。「ひさしぶり。」そう挨拶するとM子は、はにかんだ笑顔で「こないだはごめんね。」と謝った。謝り方もとても可愛く怒る気にはなれなかった。今日は六甲山へドライブすることになっていた。俺の車に乗るとさっそく、俺についた嘘というのを話しだした。しかし、それは“本名を偽っていた”という他愛ないもので拍子抜けした…。こんなことで負い目を感じるなんて。この日までに話した内容や口調、態度を総合すると、M子はかなりのMっ気のある女の子だ。そして少し変わった子なのかもしれない。

 M子は自分の生い立ちなどをいろいろ話した。お母さんが浮気性で、今度なるであろう新しいお父さんに馴染めないこと。いじめにあっていたこと。子役アイドル時代いろいろなセクハラにあったことなど、かなり陰があるようだ。しかし、それらを明るく話す姿はいじらしく感じられた。俺は一昔前の少女マンガの主人公みたいな彼女にいっそう興味をいだいた。

 六甲山でのデートは車中で話したことも忘れ、楽しく時間が過ぎていった。夕方になり少し疲れた俺たちは、休憩しようということになった。そこで俺は思いきってM子をホテルに誘ってみた。彼女は少し照れながらうつむき加減で「うん。」と答えたのだった。

 そして、俺は驚くべきM子の正体を知るのだった。ホテルに入ってからのM子は、今までの明るく可愛らしい態度から豹変した!

→つづく