2021年5月29日(土)日経新聞朝刊43ページ社会

 

まずは良かった。

とんでもないこと、つまり声を出せない、分別もまだつかないような弱き者に対する、教師によるわいせつ行為。

これをやっていながら、再度教壇に立ち、のうのうと教師が普通にいるという、保護者からすればとんでもない恐怖なことがまかりとおっていた。

なぜ、まかりとおっていたか。

法律として、刑を受け終えた者は、再び職業の自由が認められて、働く権利があるからだった。

しかし、わいせつ行為を行う人は、性衝動を抑えきれず再度同じことをするケースが多い。

そんなことは、本能的にも直感的にも、誰にでもわかっていた。

学術的にようやくそういう病気なども認められて、この法律の壁を越えられた。

腹をすかせたライオンの前にウサギを差し出すマネだけはしなくてすむようになった。

しかし、これは本当に再犯を防ぐ、刑を受けた人が、再び罪びとにならないような仕組みである。

まだ、捕まっていないわいせつ教師はいるだろう。

そして、泣いている児童もいると思う。

学校という閉鎖された空間が見える仕掛けができるよう、さらに知恵を絞っていかなくてはならい。