おじいちゃんの最後の教え… | 「みんなの図工室」

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みなさん、図工の授業好きでした??好きだった人、結構いると思うのですが・・・(*^_^*)
「あ~~~、また、あんなことやりたいなぁ~!!」と思った人・・・あ~つまれ!!

長く、お休みしてしまいました。

いつも、読んでくださっている皆様ごめんなさい。


今日のひとりごとは、ほんとにひとりごと…。

きっと長くなります。

お付き合い頂くのは、恐縮なので

明日からもどるいつもの『みんなの図工室』にお越しください。


さて、

先日母方の祖父が亡くなりました。

91歳…年齢でいえば遜色ないお別れです。


偏屈もので、厳しくて、おっかなくって…

そんな言葉しか皆の口から出てこない祖父。

でも私はその祖父の初孫で、

しかられた記憶もないのです。


この祖父には、3人の子どもがいました。

私の母、そしてその下に男の子(私の叔父)が2人。

この3人の子どもが…

すべて、自ら命を絶っているというきわめて希な、

そして、この上ない悲しみを経験している祖父母なのです。


この祖父から、このお別れの直前に

たくさんのことを教えてもらいました。


『排泄という行為の大切さ』

祖父の死の2日前…

末期の言葉が「漏れる…漏れる…」でした。

もう意識もなく、呼吸も苦しそうな中

右手をベットに横たえたからだから

高く掲げ、そういいました。

「大丈夫だよ、おむつしているからね…。

ここでしても、漏れることないよ。

汚すことないからね。安心して…。」

その右手を支えて、さすりながらそう答えました。

その手のかさかさ加減といったら…

「脱水症状を起こしていらっしゃるんですよ…」

その場にちょうど居合わせていたヘルパーさんが教えてくださいました。

(あ~、人間も植物と一緒…枯れていくんだ…)


そして、

「うっ…う~…。」

お小水がでたようで、また眠りについてしまいました。

なくなる1週間前まで、しっかりしていた祖父。

足だけが思うように動かず、

思うようにトイレに行けず、粗相をすることが多くなり

人の手を煩わせることに、憤りを感じていたようです。

『食べて、排泄する』

この当たり前のことが出来なくなったときの

人に頼らなくてはいけなくなったときの辛さ…

それをどう支援していくか…考えさせられました。


『尊厳死』

排泄が思うとおりにならなくなった祖父は、

先月末の退院後、自宅で療養していたのですが

病院で自分が思っていたよりも動けず

自分のことすら、満足に出来なくなったことを自覚してしまい

2週間ほど前から、食事もほとんどとらず

薬も飲みませんでした。

「本人が薬を飲みたくなければ、無理に飲ませないでください。」という

お医者様からの指示が出て、1週間後の死。

自分で幕を引いた…そんな感じがします。

もう、誰の手も患わせたくない…

となりにいる、もうぼけてしまって寝たきりの祖母だけでいい…

そう思ったようです。


それでも、葬式の出し方

孫六人とその家族の参列、祭壇は自宅の居間に建てること。

香典は一切受け付けないこと、必要な葬式代の用意…

全部、仕切っていった祖父。


セレモニーホール等で行われる葬儀が多い中

自宅で、それこそ私たちが子どもだった頃の

お正月のように、祖父の遺影を囲み

仕出し屋さんに頼むことなく、みんなで支度し

皆で寝食を共にする様子は…本来のお別れの会そのものだったように思います。

良いお式でした。


『夫婦愛』

私のはかりしれないほどの、歴史を刻んできた2人。

戦後まもなくから、3人の子を育てあげ

先立たれ、2人きりに…。

たくさんけんかもしたであろう2人。

「できた、私にはもったいないばあさんだった…。」と

最近はなんども口にしていた祖父。

「本人に言ってあげれば!!」という私に照れくさそうに笑う。

病院に食事介護に行けば

「10円玉5枚おいていってくれ。ばあさんに電話したいんだ。」

電話口にすら立つことも出来ず、

しかも、祖父が入院して留守であることも分からない祖母に…。


そして、

強引に退院し、祖母のとなりでひっそりと息を引き取った祖父。

2人きりで…。


私の理想の夫婦像になりました。


ぼけていたはずの祖母。

お通夜の最中、手を握りながら私はそばについていました。

お経と共に、祖母の頬に涙がつたったのです。

「寂しいねぇ…、次はわたしかね…。」

驚きました。

誰もが、祖父の死をわからないと思っていたのに…


葬儀に伴い1週間ほど、人の出入りが激しかったのもあり

祖母の食欲と意識・ぼけが急激に良くなっているのです。

人と人との関わりの大切さを目の当たりにしました。

祖母には…

いつまでも元気で…それともみんなのところに行きたいのなら…

頭がはっきりしてくれば、寂しさが…。私の思いは複雑です。


祖父の死。

私にいろいろな事を教えてくれました。

おじいちゃんの最後の教え…しっかり胸に刻み、自分なりに消化しようと思います。


そして今度は、祖母に顔を見せに通いたいと思います。