今度は、医師は患者の目をまともにのぞきこむようにしていった。「三年前、あんたの旧敵、アトウェル・バートンの死体は、彼の家や、あんたの家にも近い森の中で発見された。彼は刺し殺されていた。以来、こんにちまで誰一人逮捕されていないし、手がかり一つない。われわれの中には、いろんな推理をした連中がいた。わたしもやったよ。あんたはどうかね」
「わたしがですか。とんでもない、わたしが知ってるはずはないじゃないですかね。先生もおぼえてるでしょうが、わたしはヨーロッパへ出かけたですからね、あのあとすぐぐらいに――かなりあとだったかな。帰ってからまだ二、三週間にもならんのに、わたしに推理しろといわれても、無理でしょう。実際のとこ、あの事件は考えたこともないですからね。彼の犬がどうかしたんですか」
「死体を最初に発見したのが、その犬だよ。そして、そいつは彼のお墓で餓死したんだよ」