ルーティン・ピーコック | 七色遠景

ルーティン・ピーコック


すべての面が白いルービックキューブを
捻るように
今日も一日が
白いスクエアに適正化されてゆく
毎日毎日
デスクの上には紙が重なり高層ビル
夜更けに一人きり
コピー機は大げさに響き
その緑色の光は
天井を照らし扇のように回る
緑色の羽を広げた孔雀のように

端だけ傷んだ革のショルダーバッグ
駅前の薄いコーヒーの割引券は
コートにしまいこんでクリーニング
あまり気に入ってもいない
ありふれた銀色の腕時計だけを頼りにして
携帯はサイレント
メールは未読
シャワーを浴びて
目を伏せて
眠りが誘うのを待つが
緑色の羽を広げた孔雀に
丸い時計がちりばめられて
それぞれの秒針が
時刻を刻み続ける

一日座り続けた軋むチェアで伸びをして
打ち続ける記号の
意味など今日も知らされていない
自分の役目を知らないスパイのように
眠気はミントガムで覚ましながら
どうしてここでこうしているのかなんて
決して考えないようにして

それでも不意に
あの時 失われた言葉を
思い出そうとするのだけれど
その度に
また
時計を背負った孔雀が邪魔をする