こぶたの町
その草原はとてもひろかったけれど
ひとりぼっちのこぶたは さびしかった
鳥や虫とはおはなしが出来ないから
おはなしが出来るおともだちがほしかった
こぶたはある夜
いちばん星に
ちいさなひづめの手をあわせ
ひとりぼっちじゃなくなりますように
とお願いした
すると
世界じゅうのうまれたてのこぶたが
ひろい草原にあつまった
あおい草原は見る見るうちに
こぶたのピンク色でいっぱいになった
ぎっしりぎっしり
ぶひぶひぶひぶひ
まるでピンクの波のよう
こぶたのおともだちはいっぱい出来たけれど
こぶたはそれでもさびしかった
こぶたはママに会いたいと
ぶうぶうぶうぶう泣いていた
こぶたはある夜
いちばん星に
ちいさなひづめの手をあわせ
はなればなれになったママに会えますように
とお願いした
すると
世界じゅうのママぶたが
おおきな森にあつまった
今度は森の中がぶただらけになった
ぎっしりぎっしり
ぶひぶひぶひぶひ
まるでピンクの海のよう
こぶたはママを探そうにも
ぎっしり並んだぶたたちにうずもれた
こぶたはぶうぶう泣くけれど
みんながぶうぶう泣きすぎて
ママには声がとどかない
その時 こぶたは思い出した
ママはアネモネの花が好きだった
こぶたは
ぶた一ぴきいない山まで
ひとりですこしずつのぼって
赤いアネモネの花をさがした
もしもアネモネの花を見つけて
頭に飾れば
きっとママが
ぎっしりぎっしりのぶたの波から
探し出してくれるから
けれどアネモネの花は見つからなかった
こぶたがあきらめかけたとき
まっ赤なアネモネの咲くお花畑を
遠くに見つけた
そのそばに揺れる なつかしいピンクのすがた
こぶたのママはほほえんだ
こぶたもほほえんだ
ママはこぶたがアネモネを
きっと探すと知っていて
先にアネモネのもとで
いくつもの夜を過ごしていた
こぶたはこぶたのママと
おおきなひづめの手とちいさなひづめの手をつなぎ
アネモネの花束を抱えて
草原に帰った
あんなにぎっしりだったぶたたちの波は
いつのまにか なくなって
たくさんの赤れんがの家が並んでいた
そこには
めぐりあったぶたのおやこたちが作った
ぶたの町が出来ていた
こぶたはママといっしょに
庭にたくさんアネモネの花の咲く
おうちを作った
こぶたはとってもしあわせだから
いちばん星に
ちいさなひづめの手をあわせ
ありがとう
とささやいて
ママといっしょに眠った
月夜の窓辺の
アネモネの花は
ほほえむようにちいさく揺れた
いつもお世話になっている
「笑いの絶えない育児をしよう」のモネっち へ送ります。