今書いている詩(1272)「じぃ~ちゃんのホコリ(誇り)」
清水太郎
舞い揚がり
舞い落ちる
家がある限り
ホコリの
一日は終わらない
じぃ~ちゃんの
一生が終わっても
娘と孫が
眠っている 朝に
ダスキンモップを 握った
じぃ~ちゃんは
そっと床を 撫でて回る
滑らかに滑る
床は汚れが少ない
手ごたえのある床だ
ゴシゴシと擦る
真昼間です
ホコリたちは
遊んでいる
ミンナが寝静まると
床に落ちる 寝る
30年後の或る日 ひ孫が
「パパ ひいじぃちゃんは
どんな人」と聞く
「ひぃじちゃんは あそこにいるのかなぁ~」
パパが神棚を 見上げる
ホコリが 嬉しそうに 舞っている
張り子の犬たちが
聞いている 呟く
「キミたちの ひいじぃちゃんは
骨壺の中にいる 魂がホコリになって
イマ 家の中を 舞っているよ」
ホコリになった
じぃちやん
孫たちの 肺の中へ
吐き出されて 空気と同化する
意思として 漂う
セミたちの 終わらない
夏が 未だ続いてる