天
僕は天に向かって
ツバを吐く
ツバは上昇する
ツバは下降する
重力には逆らえない
しかし 僕ののところに
もう届かない
天は僕の行いを
何処で見ているか
僕は再びツバに逢えるか
大気に薄く溶けてゆくのか
僕でない誰かが
何処かで僕を見ている
嵐
春の嵐が
団地の公園に
水溜まりを作った
娘が長靴をはいて
楽しそうに遊んでいる
長靴は時を知り
娘は無心だ
時を超えている
虹
想念が私を招く
遠い過去世の記憶が
私を夜の狩人にする
時は過ぎ行き
私の肉体も老い行く
新しい観音の神智に
誰が救われるだろう
誰も知らないところで
怒る男が目覚める
地下水が湧き出る
虹が空に浮かぶ
あなたは何処で見ましたか
僕はまだ見ていません