墜落
高圧線の下にある
団地の ブランコに
女の子が乗っている
金具の 軋みが
前後ろ 前後ろと 連続して
意識と無意識の風に
髪を靡かせている
或日 女の子が
脱皮を迎える 朝
飛行機が 落下する
それが レーダーサイト下の
団地の運命だろうか 何処かで
ピアノ線の ため息が聞こえる
金具の軋み音は途絶えた
或時 八百屋で 胸の膨らんだた
女の子が 瓜を売っている
眼
山の画家は
一日じゅう
山を見る
何枚かのスケッチが
一枚の絵になる
私は 見る 知る
凝縮された 光景を
ほんの数分間
私の 目玉が
ひっくり返る