今書いている詩(170) | たろうくん(清水太郎)のブログ

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八王子の夕焼けの里でniftyの「清水中世史研究所」(八王子地域の中世の郷土史)とYahooで「清水太郎の部屋」として詩を書いてます。

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今書いている詩(170)

    たろうさんの写真額

 あなたは自分の家に住んで
 思ったことがありますか ありませんか
 借家やアパートに住んでいる方も
 考えてくださいね
 あなたの自分の今を未来を過去をね

 たろうさんは何故この家に住めるのか考えます
 重いローンもあるのです
 でも前向きに考えたいです

 たろうさんが勤めていた会社が今から30年前に
 倒産した時に 社長夫妻は離婚しました
 たろうさんの仲人でした その時に住んでいた家は
 付近の人から「御殿」と言われてました

 離婚騒動の時に 社長が奥さんの「大きな仏像」を
 家から放り出したそうです
 「この家はこの仏像を受け入れるためにあるのに」と
 奥さんが言った言葉が 今もたろうさんの心に残っています
 仏像は奥さんが持ってきたのです
 
 たろうさんは今の家に住めるのは
 壁に飾られたあの写真額ではないかと洋子さんに言いました 
 「そんなことはないわよ あなたと私が働いたからよ」
 即座に言われました

 確かににリビングの壁には娘の写真も家族の写真も飾ってあります
 (でもね 洋子さん この写真にはたろうさんの強い思いも
  長い歴史もあります ここに飾られているのにはそれだけの訳があるのです)
 この写真は「清水中世史研究所」のブログに「梶原杉(カラー写真に中世を忍ぶ)」
 としてアップしていますが それまで白黒でカラーの写真はなかったのです
 ふとしたきっかけでたろうさんの手元に来たのです

 たろうさんは子どもの頃に
 この大杉の根元に隠れたり
 雨の日には潜って遊びました
 役目を終えた雛人形が根元に置かれて
 たろうさんの目には夕方になるとそれが
 おぞましく感じたものです

 大杉は生きていました 八百年の月日をかけて
 村人を見つめていました 守っていました
 あの大杉の下で「おお深い おお深い」と
 狐にバカさたと言う話もありますが
 みんなの信仰の対象でした 思い出でした
 それが昭和47年に枯れて命を終え
 切り倒されたのです いまは切り株だけが残りました
 
 たろうさんは(この写真がここに飾られるために
 私はこの家に住まわせて頂いている)と考えています
 「この世にはあなたにも判らない 真実があるのですよ
  たろうさん」と大杉の声を聞いた気がします