僕は夢の中で
スパイになった
僕はピストルで撃たれて傷つく
その頃 娘は眠りながら
高熱にうなされていた
かわいい唇がかすかに乾いてる
妻がかかりっきりで看病をした
朝少し娘の体温が下がった
僕も妻もようやく安心する
娘は元気になるともう起き上がって
自分勝手な事を言い始める
ああ これで天才とは
さようならだと思った
冬の日
ヒヨドリが啼いて
冬の空に向かって
赤い椿の花が咲く
電柱が立っている
風が吹いて
電線が泣く
北側の日陰の雪が
季節の中で
立ち往生している
キーコ キーコと
ブランコがゆれて
少女の心も
揺れている