昔書いていた詩(89) 「黒犬」 「俺の心」 | たろうくん(清水太郎)のブログ

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八王子の夕焼けの里でniftyの「清水中世史研究所」(八王子地域の中世の郷土史)とYahooで「清水太郎の部屋」として詩を書いてます。

   黒犬

 旅立ちの日が
 栗色の霧で包まれる時
 僕は「さあ行くんだ」と云って
 出かけるんだ
 つい今しがた 国道で目撃した
 あの光景が 僕の頭の中に
 へばりついているので
 闇の中の死は 四匹の黒犬を
 撲殺してしまい
 今 まさに黒犬は魂の乱舞を
 始めたから
 僕の自動車のクラクションは
 倍の音量で今も鳴り続けている


    俺の心

 俺の心の 
 アンダーグラウンドには
 悲しい姿の禊

 俺が目覚める頃の
 夜明けには 蒼空
 風に揺れる一本のくびれた 縄
 どこの誰ともわからない
 老人の見る 夢

 寂しい色の
 アンダーグラウンドには
 金色の 一角獣
 彼は そこの支配者
 彼は そこの流刑者

 彼は 太陽を憎む
 光という総てのものが
 彼の敵 彼の破滅

 俺が 歩いている所は
 唯の アンダーグラウンド
 何の価値も有りはしないが
 俺には 敵も 破滅も ない
 明日だって有りはしない

 俺は アンダーグラウンドが好きだと大声で
 三回 叫んで見ることにする