昔書いていた詩(80) 「缶詰」 「運転手」 | たろうくん(清水太郎)のブログ

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八王子の夕焼けの里でniftyの「清水中世史研究所」(八王子地域の中世の郷土史)とYahooで「清水太郎の部屋」として詩を書いてます。

   缶詰

 急斜面の雪が融けかけ
 代伐された
 切株が顔を出す
 雪の上に切断された
 象の足のような
 木目が黄土色に浮かぶ

 北側の凹んだ急斜面に
 濾過された朝の光が注ぐ
 マッチ箱よりも
 小さな幸せの為に
 また何時か失われる日が来る

 空は底の抜けた缶詰
 溶解したクレヨンの
 群青よりも
 今日はあおいのだよ


    運転手

 金色の光を
 残して
 太陽が
 西の彼方へ
 埋没する

 俺はトラックを
 運転しながら
 見る

 スキー場の
 ロッジの
 女の爪の
 赤色と
 同じような空

 俺は
 アメーバ―のように
 増殖して
 沈没してゆく
 空をいつも
 追いかけて
 走る