※①からの続きです。





《お姉さまと私》

~リリアンでの決まり


クラブ見学から3日後の朝のことだった。

「小羽ちゃん。」

声をかけられて振り返る。

「ごきげんよう。
私の事、覚えている?」

「も…勿論です。
美術部の美園先輩ですよね。
あ、おはようご…いえ、
ごきげんよう。」

あれからずっと気になっていた先輩に声をかけられて、私は舞い上がってしまった。

そんな私を見て先輩はクスリと笑った。

「中学受験組?」

「あ…はい。」

「リリアンではね?同級生には名前に『さん』、
先輩には名前に『様』をつけて呼ぶのよ。
私は気にしないけど、
気にする人はするから。気をつけた方がいいわよ。」

「そ…そうなんですか?
知りませんでした。
すみません、ありがとうございます。」

私は頭を下げた。

「いいのよ。
私も中学受験組だったから、よくわかるわ。
焦らなくても大丈夫よ。」

「はい、ありがとうございます。せんぱ…」

「『真雪様』よ。
練習してごらんなさい。」

「あ…えと………
真雪様。」

「良く出来ました。」

真雪様はまるで花が咲いたような素敵な笑顔をみせてくれた。

「残念、着いちゃった。
じゃあ、またね。」

手を振りながら昇降口へ入っていった。


『またね。』


真雪様の声が何度も頭の中でリプレイされる。


『またね。』


私は美術部へ入部を決めた。


~続く
※これは私の所属するグルっぽ内でのキャラクターの過去を描いた創作小説です。




《お姉さまと私》

~春の出会い


あれは中等部入学式から4日後。
クラスメイト達と部活見学をしているときだった。

中学受験で入学した私にみんな何かと親切にしてくれていたが、元来人見知りをする性格故、なかなかなじめずにいた。

「失礼いたします。見学に参りました。」

挨拶をするクラスメイトに続いて私も美術室に足を踏み入れた。

それぞれの作品に向かって制作に励む先輩達の邪魔にならないように見学をしていると、棚にたてかけてある絵に目が止まった。

「(綺麗な青空…)」

私がその絵を見つめていると、後ろから声をかけられた。

「その絵、好き?」

振り返ると、そこに一人の先輩が微笑んで立っていた。
作業の邪魔にならないようにだろうか、無造作に束ねられた髪が大人びていて、素敵だった。

「あ…はい。空の青が綺麗で…」

「ありがとう。私が描いたのよ。」

先輩が私の隣に立つ。

「絵は好き?」

「はい…でも上手くないですけど 。」

「上手いか下手じゃないわ。好きかどうか、それだけよ?」

先輩の優しい眼差しが心にしみる。

「よかったら名前を教えて?
私は三年李組の美園真雪よ。」

「は…はい!
一年李組の神山小羽です!」

「小羽ちゃんね?
良ければ入部待ってるわね。」

そう言って先輩は自分の作業に戻っていった。


―それが私と先輩との出会いだった。


~続く