Seiさんの休みの日に
ちーさんからの国際電話は恒例になっている
前回ちーさんと話したのは日曜日
お彼岸で、こーさんの実家に行っている時に
居る時間を見計らってかけて来た
そして昨日
いつものようにちーさんから夕方電話が入る
「ちーさん?」
電話口ですすり泣く声
「・・・・カメラ盗まれた~~」
「ええ~どこで」
「学校・・・・」
なんでも月曜日
体育の時間
よそのクラスと2クラスが同じ時間に体育だったとか
ちーさんたちのクラスは芝生ではだしでかけまわる
もう一つのクラスは水泳だったとか
授業が終わって更衣室に帰ると
もう一つのクラスは先に、終わっていたようだった
そこでちーさん異変に気づく
ちーさんのリュックとスカートが
床に落ちていたのだ
鞄の口は開いていて荷物とスカートが濡れていた
その時は盗まれたことを気がつかなかったのだろう
帰ってカメラの充電をしなくちゃ、となったときに
カメラが無いことに気がついた
学校の先生と、留学センターのアドバイザーには
すぐに申し出たようだが
すでに3日
まだカメラはちーさんの前に現れない
不覚だったのだ
普段とても注意深いちーさん
貴重品など自分でしっかり管理できる子だった
場所はNZ
更衣室のロッカーに、鍵なんか無いそうだ
そこに普段、カメラを彼女が持ち歩いているのを知っている
よそのクラスの子供にしてみれば
「どうぞお取りください」
といわんばかりだろう
まあよく、今まで盗まれないで済んでたもんだと
そっちの方が不思議なくらいだ
いろんな偶然が重なったのだろう
たまたま別のクラスと体育の時間が一緒だったこと
そしてその日はグラウンドとプールというメニューの違う
授業だったこと
そしてそのクラスのほうがちーさんのクラスより早く授業が終わったこと
そしてきっとちーさんの荷物に手をかけることができるタイミングが合ったのだろう
ちーさん自身も
自分から荷物が離れる時に「他のクラスと体育の授業が重なり」
「更衣室」という場所に入れなければならない条件で
「不可抗力」だったということと
やはりそこで「盗難に会うかも」なんて
気持ちは回せなかったのだろう
そのくらい多分居心地のいい場所だったのだろう
そしてそのくらいまだ彼女は子供なのだ
「カメラはどうでもいいけどさ
カメラの中のデーターカードだけでも返して欲しいよね」
「あ・・・・」
カメラには今のホームステイ先の思い出の記録が
500枚も入っていたとか
ちーさんの
大事な留学の思い出が
帰国1週間前に
あっさり持ち去られてしまったのだ
号泣するちーさん
彼女の傷つきを思うと
親の私も涙があふれてくる
「ちーさん、まだお金持ってるでしょう?」
「うん」
「まだ1週間あるじゃん、使い捨てカメラを沢山買いなさい
お金なんて全部使ったってかまわないから
使い捨てカメラで、沢山写真を撮ってきなさい
お友達の写真も、ファミリーの写真も
週末もまだあるし
日本のお友達と出歩いた分やホビットツアーはみんなから写真をもらえば
思い出を埋めることが出来るでしょ
あとは
ちーさんの
の中にきちんと思い出として残っていれば
それでOKじゃない?
きちんとそれははっきりと憶えてられるよね
写真だって年がら年中見てるわけじゃないじゃない
記憶が大事なんだからね」
「うん」
「帰る前の日だったらどうしようもならないけど
まだ1週間あるんだし、それだけでもラッキーって思うことにしよう
だから明日、まず学校から帰ってくるとき
ショッピングセンターで、使い捨てカメラを買うことと
後は、カメラのカードだけでも返して欲しいって
どうやったら働きかけられるか、先生に聞いてみることだよ」
この何日か
どんな気持ちで、過ごしていたのだろう
どんなに心細かったか
日本の学校の制服を着て歩いているので
行動はどうしても同じ制服の子より目立つのだろう
大きな事故に会わずに済んだことを思えば
カメラが盗まれたくらいは屁でもないのだが
大事な大事な記録や思い出が
もう戻ってこない、せつなさ
その晩
帰宅したこーさんにこの話をすると
「でもちーさんと俺が話したのって月曜だから
その時は何も言ってなかったぞ・・・・
ってことは
帰ってきたらリュックは机にボンって投げっぱなしで
寝る間際まで気がつかなかったことだろ・・・
ってか
日本に居るのと一緒で、のんびりしてるって言うかだらしないって言うか・・・・」
というこーさん
そういえば
「その日は物凄く荷物が多かったから
もう一度探してみる・・・・多分これだけ探したけどないから
出て来ないと思うけど」
と涙声で言っていたっけ
どちらにしても
充電器はちーさんが持っていて
カメラそのものはもうバッテリーはなかったとか
盗んだところで
そのカメラは使えないのだろうけど・・・・
(電池で使えるのかしらねえ・・・・)
やっぱり使えないやって
ぽいっと何処かにおいてくれないかな~
「カメラ落ちてました」なんて
職員室に持って着てくれないかしら
多分でてこないことが重々わかっていることなのに
どこかでそんな風におもってしまうSeiさん
でも
あと1週間あったことも
本当にラッキー
前向きに考えられるからね
言ってしまう時は
どんな3ヶ月弱になるのかとおもっていたけど
ちーさんはあと1週間余りで
日本に帰ってくる
そして日本の寒さに身体がなれる前に
彼女は高校生としてスタートするのだ
Seiさんも「高校生の母」
になるわけで
早いなあ・・・・・
これからの3年間もあっという間なんだろうな