あっという間に1週間・・・
そして7月ももう直ぐ終わりですね。
今日は予備校講師に関してです。
ご存知の方も多いですが、予備校講師といってもごく少数の専任講師を除き、みんな1年契約の「高給(≠高級)バイト」です。
非常勤講師という身分ですね。
個人事業主が予備校に単年度契約で雇われているということになります。
単年度契約=与えられた仕事を必死にやる=提供する授業や教育サービスの質の担保
ということになっておりました。
15年くらい前までは、
(1)塾(学生バイト多数)→(2)大手塾(正社員講師多数/時給3,000円程度)
→(3)中規模予備校(非常勤講師多数/分給100円〜150円程度)
→(4)大手予備校(非常勤講師多数/分給200円〜)*SKYのいずれか
という教育産業のピラミッドがあり、
(2)を経由しない場合もあるものの、よっぽどの例外を除き、(1)からスタートする感じでした。
ちょっと前に話題になった言葉を使うと、正規/非正規でいうと、非正規労働者ということになります。
このピラミッドをぐぐり抜けて大手にたどり着き、さらにそこでも競争があるので教育サービスの質が担保されるという構造になっていました。
自分の経験でも(3)止まりという講師は結構多く、そのような講師はやはり同じ中小規模予備校を行ったり来たりしている感じです。
一方で、大手S予備校の専任講師だった人に聞いたところでは、年収は1600万円くらいということでした。
銀行の支店長が1500万円くらい、勢いのあるベンチャー企業の社長が2000万円くらいの年収なので、結構好待遇ですよね。
しかし、時代は変わり、以下の2点の変化が起こりました。
1.非正規雇用が社会問題になり、予備校も「正規雇用」という制度を導入し、拡充している
個人的な見解では、予備校講師で「正規雇用」を希望するなんていう講師は、この仕事を辞めて了えばいいと思います。
自分の授業や講師としてのカリスマ性に限界があるのなら、この仕事をそもそも生業にすべきではないからです。
予備校に尻尾を振って、正規雇用やコマ確保をする奴は、一言で言うと「ヘタレ」です。
「ヘタレ」はダサすぎるので廃業すればいい。
売れなくなったらおしまい。芸能界もお笑いもプロ野球も同じです。
しかし、全国規模でかなりの教職員を雇用している予備校には、企業体としての「社会的責任」が生じてきており、またロートルを中心に講師は左巻きが多いので、変な運動や連帯は得意です。
妥協点としての正規雇用システムの導入は、講師と教務の緊張関係を緩め、癒着を生む一方で、提供される教育サービスの質を徐々に下げていくことになるでしょう。
2.少子化と経営難で前述の教育産業ピラミッドが崩壊し、「若手」講師の下積み場所がなくなり、新規参入者の授業力が担保されなくなった
それでは、「若手」(=業界歴・授業歴が浅い/年齢は無関係)講師なら素晴らしい授業ができるのか?というとそれも肯定できない状況になってきています。
私たちの頃と違って、講師としての「修行」の場である中規模予備校や地方予備校がなくなってきているか、あるいは、中規模予備校や地方予備校に大手予備校で食い詰めた人が押し寄せているからです。
数年前に、某大手有名塾を経営する方と話したとき、こんなことをおっしゃってました。
「最近の若手講師は、応募書類にエビデンスとして今教えている塾の授業アンケートを添付してくるんだけど・・・
よく見ると、都内なのに多くて受講者数が20名弱で、ほとんどの場合10名前後しか受講生がいないのね・・・
そのサイズで生徒の満足度が高いってドヤ顔されてもね・・・
まあ、競合他社の集客情報が分かるくらいの資料でしかないわ・・・」
ということで、10名前後のクラスで生徒さん全員を満足させることは簡単です。
教室にいる生徒さんのベクトルを揃えて、ハキハキと授業をして、丁寧に質問対応をしていれば大体アンケートは高評価です。
多くの場合、比較対照されるクラスが2つ以上設置されていることはありません。
高3スタンダードレベル英語は1つの校舎に1講座しかなければ、その先生の授業を好きか嫌いかだけがアンケート評価になります。特に、外見麗しい20〜30代前半の講師は文句なしに人気講師になれます。
そのくらいのレベルの人が、予備校バブル期の幻想を抱いて大手予備校に楽々入ってきます。
ピラミッド崩壊後は大手の採用のハードルも下がってますし、構造不況業種に敢えて参入する人はよっぽど好きな人以外いません。
10年前くらいまでは、自他共に実力があるのに、何回もトライしても大手予備校講師に採用されないという人がいました。
私が知っている例では、ある生物の先生は4年生大学卒業後、国立大学医学部医学科に再入学し、中退したという経歴で生物の知識も入試問題にも、市販参考書・問題集にも精通していたのですが、採用されることがありませんでした・・・
って、
こんなことを書いていたら絶対古巣には戻れない気がするんだぁ、パトラッシュ。
今日読んだ本は(通算:80冊目)、
『新軍事学入門』(小峰隆生他/飛鳥新社)
軍事につよいライターである著者がさまざまなスペシャリストに疑問をぶつけていく対話を収録した形式。
クラウゼビッツは「戦争は政治の延長」と言っているが、日本の国際政治と国際関係論では軍事学を学べない。
これは東大をはじめとして日本学術会議が安全保障や軍事にまつわる研究を禁じている(愚かなこと!)ためだ。
そして、太平洋戦争後75年がたった現在、ソ連は崩壊したものの、日本は中国・北朝鮮・ロシアといった核保有国の仮想敵国に囲まれており、米国の世界におけるプレゼンスは下がっている。
「話せばわかる」というが、文明的思考ができない仮想敵国は外交や対話による危機回避は限界がある。
そこで、まずは付け入る先をなくすための防衛力強化です。
本書にはさまざまな具体的な提案があり、素晴らしいと思います。
あとは政治家と政治家を選ぶ我々有権者の意識を変える必要がある。
平和を望み、対米従属から自立するためにも、戦争が起きた時のことを客観的・学術的にシミュレーションしておき、それに対する対策を具体的にしておく必要があります。
私は北村博士の考えが今の日本には良いと思いますが、
中共が崩壊・暴走している昨今、のんびりと冷戦期のような憲法9条信者でいる日本人が多いことを危惧します。
また、軍事は究極の意思決定でもあるので、経営学や経営者の人も触れておくべきインテリジェンスでしょう。
面白いですし、ためになるのでぜひ読んでください!
おすすめ度:★★★★★