昭和記念公園と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。四季折々の美しい花、アウトドアスポーツエリアや子供向け遊具もこだわりの設備が揃っています。思いっきり遊ぶのにぴったりな場所ですが、伝統文化を生きた形で継承していくための仕組みも随所に織り込まれているんです。

そんな場所の一つ、「こもれびの里」。セグウェイガイドツアーでいつも横を通るのですが、今回はしっかり中までお邪魔してきました。

 

丘の上から見渡すこもれびの里の一部。

 

まず目につくのは立派な古民家。狛江市から18世紀後半に建てられた名主さんの家を移築したものです。中に入るとボランティアの方が囲炉裏の火の世話をしていました。茅葺屋根が傷まぬようにするためには、この煙が欠かせないそうです。通常は土間からの見学のみですが、体験イベントなどで部屋に上がれる日もあるとのこと。要チェックですね。

 

古民家外観。名主さんのお家だったというのも頷けるどっしりした佇まいです。

鉄瓶の湯気と薪のはぜる音は、なんだか気持ちを穏やかにしてくれます。

 

この場所だけでも一見の価値ありですが、こもれびの里の真髄は外にあります。古民家を出てこれまた立派な門をくぐると、道の両脇には田んぼと茶畑が広がっています。再現されているのは武蔵野の昔ながらの景観だけではなく、土とともにあった人々の営みそのものなんです。水田の他に畑もあり、そばや麦、イモ類なども栽培されています。堆肥も里周辺に雑木林があり、そこの落ち葉から作るという徹底ぶり。

 

田んぼの奥の木立も里に欠かせない資源です。

茶畑。春には茶摘みも行われます。

 

ボランティアの方々の手で大切に守られているこの田畑では、来園者も田植えや稲刈り、イモ掘りといったイベントに参加することができます。さすがに今は冬なので収穫イベントはありませんが、1月は里で取れた小麦を使ったうどん打ち体験や、炭焼き体験が予定されています。(※要事前申込・定員制)

農村風景を眺めるだけでも十分楽しめるエリアですが、せっかく「開かれた生きている里」がすぐそばにあるのですから、行事などに参加してひとときだけでも里の住人になってみたなら、また違った景色が見えてくるかもしれませんね。(篠原)