≪本文≫
そういう母の思い出のなかで
わたしが今も忘れないのは
乳が出すぎて
乳が張りすぎてと言いながら
よく乳も飲まずに亡くなった村びとの
幼い子たちの小さい墓に
乳をしぼっては注ぎしぼっては注ぎ
念仏をとなえていた母の
美しい姿である
若い母の大きな乳房から出る白い乳汁が
夕日に染まって
それはなんとも言えない絵のような
美しい母の姿であった
【坂村真民一日一言より】
≪私見≫
坂村先生の珠玉の詩は、
このお母様の姿が原風景なのだと思います。
きっと先生はお母様のお腹の中にいるときから
胎教のようにお母様の『念仏』を聞き、
その思いを感じていたのでしょう。
お母様は、『念仏』の人でした。
それが、後年
「念ずれば、花ひらく」ように、
先生をして多くの人々に勇気を与えさせてくれたのです。