久々の更新。



最近、↓読んでます

ドナルド・A. ノーマン, 野島 久雄, D.A. ノーマン
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論

この中で、製品の開発者(企業向け業務システムです)として、非常に共感したこと。


要約すると

「最初に出荷した製品機能は、後の製品では削除が難しい」


この本で例に出しているのは、電話機(イギリスのもの)

四角いデザインで、左側に縦に受話器、右側に1~9のプッシュボタンがあり、

プッシュボタンの上部にもうひとつ「R」というボタンがある。

見ただけでは、何の機能かさっぱりわからない。

ただし、結構多くの電話機で見るらしい。


で、筆者が製品出荷している会社に電話で聞いたらしい。

返答は、

「すでに出荷して、ある程度定着している機能は、次回から削除する、ということが難しい。

それは、誰がその機能を便利だと思って使っているか、どの程度いるのかまったく想像

つかないからです。

デザイナー達では、「その機能は何のためにあるの?」と聞いて、誰からも具体的な内容が

返ってこなければ削除してもOK、としているんですが、皆賢いですから、何らかのもっともな

理由を返答してしまうんですね。」

という内容だった。



そう、『誰が』『何を利用しているか?』『どのような気持ちで使っているか?』が分からないから

無駄に機能が増えていく。

そうすると、覚えるのに時間がかかり、使い勝手が悪くなる。

(これもイノベーションのジレンマの一つの中身なのだろう。)



今作っているシステムは、非常にその罠に陥りやすいもの。

システムで、設定で多くの会社の異なる業務を吸収する仕様になって

いるけど、最初に作った時に「これはきっと使うだろう」と独断と偏見でつけられる

設定・仕様というのがあるわけです。

(実際やってしまいました。照会権限とデータの集中の対象日の概念を分けずに同じ「基準日」で

データ取得することで、不必要な処理をする仕様。。設定で他変更出来るようにしたが、その仕様は消せず。。 以上蛇足。)


(システムで普段の業務を対象として、その環境を作るのが大変であり、利用者も遠いため)、

製品出荷前に実際に試用してもらって機能を試していただく、ということが難しく、

結果実は利用されていない、という設定・仕様が(たぶん)ある。

しかし、今からその設定を消してしまって、もし顧客がそれを利用していたら。。。

100%クレームものです。


理想は、顧客が利用しているかどうか確認出来ることだけど、50社を越えると、

ちっさい一つの機能が利用されているかどうかの確認なんて、手間がかかって仕方ない。

調査に漏れが出ているかもしれない。

結局、安全策をとって以前の仕様、設定はそのままに、さらに設定を増やしていく

わけです。


かくして、設定が複雑になるというジレンマ。(多くの異なる業務している会社に向けている

訳だから、ある程度設定が複雑になるのは仕方ないのだが。)



設定部分だけで言うならば、顧客のサーバーから設定を抜き出せる機能を作り、

それを全データ集めれるようなネットワークでも繋げれればいいわけだけど、

企業組織の組織たる所以は、実は「ノウハウの保持」「社会的責任」「役割の集合」だったりするわけです。

世界で~しか作れない金型、システム、マーケティング手法だったり、

電話番号な年収、趣味などの個人情報を守る、だったり、

部長と課長と係長と平、また営業、保守、製造、開発、事務だったり。

(なので、企業向けシステムは一般向けに比べてセキュリティが非常に厳密=めんどくさい)


なので、全顧客をつなぐネットワーク(もしくはハブ)はほぼ非現実。



結果、顧客の機能利用状況はわからず、無駄だと思える機能が次々について、

ユーザビリティしょぼい製品が色々発生する理由の一つとなるわけです。

(松下なんか、その点ではユーザビリティ性高いいい製品多い感覚あるが。)



要するに、製品出荷までに、確実に「使える」製品に仕立て上げないといけないってこと。

それぐらい頭いい(=想定力のある)人間がいればいいんだけどね。



蛇足:

アメブロで日時を書き込む欄が下にある。何故か空白になっていて、埋めてみると

「日時が不正です」と出るけど、どういう形式で入力すればいいのか分からない。

これも非常に不親切な一つ。これで書いた文章消えたらどうするんだか。