4月18日に、経済産業省から
『社会人基礎力に関する緊急調査』…企業が求める人材像
http://vil.forcast.jp/c/ad73anybeWsRoOab
というレポートが発表されています。
(と、「大前健一 『 ニュースの視点 』」で知りましたw)
この調査の概要は、
社会人基礎力を
・前に踏み出す力
・考え抜く力
・チームで働く力
と定義し、大企業、中堅・中小企業で何を重視するか、
また就職活動前の学生で何に自信があるか、を調査。
全体の結果は、調査結果を見てください。
http://vil.forcast.jp/c/ad73anybeWsRoOab
私として面白いと思ったのは、
大企業では「前に踏み出す力」(約60%)
中堅・中小企業では「チームで働く力」(約30%)を重視する企業が多い。
重視する=自社で足りていないと思われる能力、でしょう。
で、一般的に大企業は動きが遅い、中堅・中小企業は信頼が低い。
単純な結びつき。
でも今回の調査結果は傾向を数値で示した。それはつまり、そのようになりがちな
条件があるのだろう。
何故大企業は動きが遅いのだろうか?
友人の話を聞くと、確かに動かす金額は大きい。電機メーカー友人は、
10億単位で商品を動かす。
でも、それは生産と販売の間の立場で、マーケティング部門(実際はどの程度
生産して販売にまわすかの企画管理)の部門の一部として働く。
大きい変わりに、権限は相対的に低い。自分ひとりで決めれる範囲が狭いから。
反対にいえば、調整すべき相手が多い。
互いに依存しているから、変更するのは、非常に時間がかかる。
生産部門を考えてみると、
PCの生産ラインを月5万台のところを、1万台増産できる生産体制を考え、レイアウトを
変更したい。
だけど、レイアウト変更に工場機械の移動・改良、人員配置、それらに伴う
他ラインのレイアウトの変更などで10日かかる、と(実際はメーカー勤務でないから知らない。想定)。
10日だと約1万6千台が出荷できなくなる。
計画では月5万台売り出す予定で版場も予定を組んでいて、量販店など販売代理店への
振り分け決まっている。さて1万6千台の生産減少をどうする??
きっとこんな感じだろう。
予定を調整することだけでも大変だ。さらに、それらを運営するノウハウ(作業手順)も
本気で複雑である。他社の労務規約冊子を見たことあるが、ちょっとした辞書並みの
太さになっていた。300ページは余裕で超えていた。
こんな現場に直面して、「何かを変えていけ」と言われても、ほとんどの人は何も
できないだろう。主体性は、まあまだ持てる。
ただ、前に踏み出すには萎縮するものがありすぎるだろう。
前に踏み出させたいなら、それら萎縮するものをのける環境が必要。
・業務が出来る上司=自分の良いやり方を判断基準に断じる可能性大。
失敗する可能性大でも、そのリスクテイクを最後に行うのは上司の役目、という定義が必要。
・前に踏み出すには、何が悪いのか、何故悪いのか?経験と情報が必要。
縦割りなら、他部署の厳しい現場経験できる場所へのローテーション必要
(大企業のローテーション人事はもともとこれだろう。販売代理店に行って、何もやることなく帰らされる
ような研修とかよく聞くけど。)
・実験的に行える場が必要(新規事業が一番よいかな。利害関係が少ない状態にする)
・部署横断的ならば、その実行を認める人間の存在必要。(それを理想化した組織がマトリックス組織
だろう。まともに成功している会社はないけど。)
書いていると、結構平凡な言葉に落ち着いてしまった気がする。
結局、それぞれの中身をどのように実行するのか、中身の徹底が必要なんでしょうね。
ただ、私ならば『実行を促進できる環境』として
■人材:上司は最後の砦、リスクテイカーとして仕事任せる。それを評価に取り入れる。
■総務:仕事場以外のコミュニケーション場提供
■システム:2chぐらい自由にモノを言えるシステム場の作成。無言の賛意を含めたシステム構築。
をそれぞれ本気で取り組みたい。
(これがまた、権限なければ難しいし、そもそもその権限を認可するのが誰かさえ定かでない
ことが多々あったりするわけですが。。。)
つまりは環境=組織力学なんですが、それを巧みに捉えた名著は、
- クレイトン・クリステンセン, マイケル・レイナー, 玉田 俊平太, 櫻井 祐子
- イノベーションへの解―利益ある成長に向けて 。
- これはマジお勧めです。