食堂でほどほどに飯を済ませ、風呂に入り、再び二重一間の寮へと戻る。
さて、明日は休み。宴の準備は整った。
途中、ラリった先輩が
「おい、俺の携帯パクったやろ!何処やってん!」
などという理不尽なイチャモンを付けられて仕方なく一緒に探したが、あろうことか、先輩のジーパンのポケットに携帯は入っていた。
この先輩、完全にイカれている。
邪魔が入ったが、再び二畳一間に戻り、ストロング2つとエナジードリンクと眠剤と咳止め錠を並べる。
ニヤニヤしながら両手を叩く。
天国へ行く準備は整った。
僕は空の二リットルペットボトルにエナジードリンクとストロングを流し込み、仕事の恨みを晴らすごとく、思いっきりシェイクする。
しゅわしゅわと泡立ったそれの蓋を開け、咳止めの錠剤と眠剤をジャラジャラと口の中に入れ、ストロングとエナジードリンクのシェイクのそれで流し込む。
喉越しなら最高にハイになる気分だ。
しばらくすると高揚感が全身から襲ってくる。
多幸感に包まれてくる。
これぞ生きてる甲斐があるってもんだ。
イヤホンを付けて爆音でテクノを聴く。
このまま宇宙までぶっ飛んでいきそうだ。
僕の脳内は今やまさに宇宙の果て。
絶対零度を突き破る。
誰も見たことの無い宇宙の果ての絶対零度に突っ込んだ。
ノーベル賞どころの騒ぎじゃない。
僕はセブンスターへ手を運ぶ。
中身を見てはっとした。
タバコが後五本しかないじゃないか。
全財産1500円。
明日は仕事が無いから金が貰えない。
タバコを買うと明日錠剤が買えない。
これは一大事だ。
休みの日にシラフは困る。
どれだけ困るかと言うと父が危篤ですぐ帰れと言われても帰れないぐらい困る。
故に、タバコは買えない。
しかし、タバコが吸えないのも困る。
タバコをねだるのも、あまりにも最近ねだり過ぎてるので、疎まれている。
どうしたものか。強制禁煙はいささかきつい。
とりあえず、一本吸う。嗚呼、上手い。
吸い終わり、後四本。
とてもじゃないが、後一日半も持ちやしねえ。
そうして三時間が経ち、またタバコが吸いたくなる。
嗚呼、しかし今吸うわけには。
ハイになってるからとてもじゃないが眠れない。朝方までに二本までに押さえて、残りの二本を昼まで粘り、残りは寮の仲間に貰うか。
算段がいささか難しい。
クソ、思いたくないが結局世の中、金なのかよ。
それにしてもなんとも惨めな悩みなんだ。
とりあえずデパスを噛る。
そしてタバコを吸う。
しまった。いきなり間違った。
計算が狂った。間違ってタバコを吸ってしまった。どうする?残り三本だ。
もうこうなりゃ、吸い殻集めでもするか。
しかし、何処のだれぞとも知らぬおっさんと間接キスをするのもどうかと。
ええい、もう知らん。
全部吸ってやる。
後は野となれ山となれだ。
嗚呼、どうしてもいつもこうなるのだ。
たまにはもっとこう、色々頭を使って、そして諦めるなよ自分と言いたい。
いつも途中で考えるのをやめて諦めて後は野となれ山となれ、明日は明日の風が吹くと、運否天賦に任せてしまう。
勢いでデパスまでも全部食っちまったし。
そして僕はそんな自分の適当な行為を知らぬフリをして作曲創りをして忘れることにした。
部屋に残るは残骸ばかりのみ。
