雨が降り注ぐ防波堤

荒波がうねりをあげる

淀んだ景色の一面には

色などはなく

呆然と雨粒が海面を打ち付ける

聞きたくない・・・

とっさに耳を塞いだ。

それでも押し寄せる波の音は

僕自身を襲いつづけた

しゃがみ込む僕に残されたものは

片割れの手袋

どうして僕は

大切にとっているのか

どうして僕は

捨てようとしないのか

答えなど聞くあてもなく

波音が邪魔をする

雨に打たれながら

そっと顔をあげると

温かいぬくもりが

そっと頬を触れた