PS4 NEO: 新型とオリジナルはどのように共存していくのか? (2) | みらいマニアックス !

PS4 NEO: 新型とオリジナルはどのように共存していくのか? (2)

PS4 /NEOゲームの互換性

ソニーは極めて熱心に両方のハードをサポートするよう開発者に求めており、今年のQ4以降に発売されるPS4向けタイトルは全てNEOに対応するよう開発者を鼓舞している。両ハードが確実に一体であるようにする方針に例外はほとんど、あるいは全くない。

・NEOのみ、またはPS4専用のゲームは許可されていない(NEOはオリジナル版の作品を実行できることを忘れないでほしい。開発者はどちらか片方のユーザを締め出すことが許されていないだけだ)
・ユーザが購入するゲームは全て、パッケージ版かデジタル版かを問わず、PS4とNEOの両方に対応していることが求められる。別のハードでゲームをプレイすることについては一切費用はかからない。
・NEOに対応する全ての新作はパッケージを分けず、どちらのハードででも動作する。CPUバイナリコードは同一であり、3つのGPUバイナリコード(共通処理、PS4専用処理、NEO専用処理)は同じパッケージに収められている。
・すべてのDLCと追加コンテンツは完全に両ハード共通。ダウンロードするデータはどちらのハードも同じデータを用いる。基本的なパッチも同様だ。
・古いゲームのNEOへの対応は「前方互換性」パッチにより行われる。これは新作では許可されない。
・NEOユーザのみ向けのゲーム機能を提供することはできない。仮にゲームに画面分割モードがある場合には両方のハードで使えなければならない。だがこのモードを強化することは問題ない。つまりもしPS4で2人のプレーヤーが画面分割モードでプレイできるとすれば、NEOでは4人のプレイヤーがプレイできるようにすることができる。
・PS4やNEOのどちらか一方だけに追加コンテンツを出すことはできない。
・NEO向けのコードにバグがあった場合、NEOユーザにPS4版のコードを使わせて逃げることは許可されない。ゲームは修正する必要がある。


周辺機器のサポート

ソニーはここで劇的な変化を起こそうとはしていない。NEOのハードウェアはPS4と同じプライマリ・インターフェースを備えていると考えてよい。すなわちUSB3.0、Bluetooth、カメラインターフェースだ。

・既存のDS4は、NEOでもプライマリ・インターフェイスとされている。新しいコントローラはない。今と同様、DS4は両方のハードのどちらとでもペアリングすることができる。
・PS4に対応している周辺機器は全て、NEOでも同様に利用できる。
・NEOとPS4で周辺機器のサポートに差があってはならない。


レンダリングのガイドライン

ソニーがどのようにして4K表示向けに高い解像度をサポートし、また高い、さらに安定したフレームレート、グラフィックのリアルさ、またさらなるビジュアル・エフェクト機能が開発者に推奨しているかについては既に述べた。この点については今後また新たな情報が入ってくるであろうから、そのときに再び触れることにする。とはいえNEOのレンダリングにおける厳格かつ確固とした技術ガイドラインとして、ソニーは以下のように述べている。

・NEOモードで動作するゲームは、1920×1080(1080p)以上のネイティブ解像度で動作しなければならない。
・フレームレートは、ベースとなるPS4と同等以上のパフォーマンスでなければならない。

既存のPS4向けのレンダリングやパフォーマンスの新たな標準はない。NEOへのシフトが強調されることで、旧来のハードにおけるゲーム体験がこれまでより貧弱なものになってしまうのではないかという懸念はある。だがNEOのユーザベースは薄いものであり、「ベースとなる」PS4は引続き巨大なユーザベースにふさわしい配慮と注意を受けるものと期待される。



テイク・アウェイ

多くの点で、新しいハードに向けての開発を行う際に何が可能できるか(また何ができないか)についてソニーは非常に保守的になっている。非常に明確なことは、既存のユーザを止め置き、疎外しないことが、ここで第一の関心事なのだ。またここでみられるのは、既存のエコシステムを細分化するのではなく、強化していこうというコンセプトだ。このコンセプトは、NEO独自の機能がPSストアでどのように書かれるべきかと言うことにまで及んでいる。ソニーは、デベロッパがそうした機能を一覧として出すことに不満はないものの、デベロッパは既存のPS4ユーザにNEOをアップセルする義務はないと、明示的に記述している。

というわけで技術基盤の点から言えば、ソニーは実に抜け目がないように思われる。ソニーはハイエンドの「エリート」バージョンを作り出しつつ、膨大な既存PS4のユーザベースを置き去りにすることがないように、しっかりした限界を設けている。だがそうすることにより、開発者が旧来のハードでは標準をどの程度外すかが問題になるだろうし、旧来のPS4を留め置くことによって、遥かに高性能なNEOのハードを活用できる範囲に制限が生じるのではないかということも問題になる。

そしてもちろん、どちらが先なのかは分からないが、現在、そして中期的な将来であっても、4Kディスプレイ技術がゲーマーにとってどのくらい意味のあるものなのだろうか?それともNEOでの開発は、それに変わって1080pをもっとリッチに表現することに集中するのだろうか?







NS: eurogamer  How PlayStation Neo and the original PS4 will co-exist


みらい的コメント:


もうちょっとだけ続くんじゃ。 一応完了。

以下雑感。

・おそらく無印版の値下げはセット。となればハードの売上的には結構なプラス要因になる。コアな既存ユーザは買い替えに走り、まだ購入していない一般的なユーザは価格低下を素直に喜ぶだろう。競合コンソールにとっては大きな脅威になるはずだ。

・だが買い替えに走るほどコアではないが、かといって違いは分かる一部のユーザはこの変化を歓迎しないだろう。彼らに疎外感を持たせないことはやはり重要だ。釣った魚にエサはやらないというスタンスを取らないことを願う。

・余力のない中小デベロッパにとってNEO向けの最適化とQAの工数増はバカにならない。多くはネガティブに捕らえていることだろう。逆に大手はまあ歓迎ムードなのではないかと思う。かといってPS4はコンソールのドミナントだし、他ハードに流れるかといえばそれも微妙。競合他社は、多少は営業しやすくなったと感じるかもしれないが。

・PS5との前方互換も検討はされているだろう。だがiOS的な、短期サイクルでの交代を前提とした±1~2の複数世代マルチにまで踏み込んでいるかは微妙。PSのハード哲学との隔たりはやはり大きい。だがプラットヒームとしてはその方が健全だと個人的には思うし、方針を大きく変えている可能性もゼロではないだろう。

・長期的にはビジネスモデルとしてのコンソールの限界、短期的には次世代のチップを待てば前世代の過ちを繰り返すことになるリスク、そうしたところから、ソニーにとって中間世代はたぶん避けられない選択だったのだろうと思う。そもそもコンソールビジネスの継続自体にさしたるモチベーションがないMS、ナンバリングのサイクルがもともと短い任天堂は、この手の悩みとは無縁だったろうから、ソニー特有の悩みなのだろうけれど。