昨夜はアナフィラキシーを起こしてしまったことや、たくさんの検査を経て疲れていたのだろうか、21時には眠りについた。

(忘れていたが、昨日の昼食は検査前のため食べず、夕食はアナフィラキシー後のため食べずだった。

とはいえ、食欲があまりない状態だったから、苦痛ではなかったな。)

 

眠りについた時間が早かったせいか、朝の4時には目が覚めてしまった。

そのときに感じた身体の変化があった。

 

①頭がすっきりした

 今までは常にボーッとしていたようだ。そんなことには気が付きもしなかったんだけど。

②眼の機能がやや回復した

 昨日までは眼の上下運動が全然できていなかったんだけど、少し軽くなったよう気がしたので、スマホのカメラで撮影してみた。やはり、少し動くようになっていた。

③顔と指先の痺れが弱まった

 これは明らかだった。今朝は、注意深く意識してはじめて痺れていることを自覚できる程度だった。

 

医師からは、早い人で免疫グロブリン療法3日経過くらいから効果が出るとは聞いていたけど、僕はさらに少し早かったのかな?でも僕が感じた身体の変化は感覚的なもの。検査を通じて定量的に差異を計測しているわけではないから、どれくらい変化があったのかを言葉で伝えるのが難しい。

 

食欲にも変化が出てきた。朝食を8割ほど食べることができた。これでも入院前の通常の状態からでは少ないんだよね。食事のトレーに摂取できる栄養やエネルギーの表示があって、この日の朝食は500㎉。その8割だから、わずか400㎉しか摂取できていないことになる。漠然と「健康な状態に戻るにはまだまだ時間がかかるな」と感じていた。

 

昨日のできごとのせいか、今朝は医師による回診の時刻が早く、人数も多かった。僕は昨夜のできごとなんかスッカリ忘れて、今朝の体調の変化を喜んで報告した。医師が指差しで眼の動きを確認してくれて、「かなり動くようになりましたよ」って言ってくれた。

 

そして今日からリハビリを開始。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が一日に各1回、30分から40分程度リハビリをしてくれた。皆さんの人柄もあったと思うんだけど、歩いたり、身体を動かすことが楽しみで仕方ない生活が始まった。僕は4階の救急病棟にいたんだけど、リハビリは2階。近くにあるエレベーターを使ってすぐにいける距離なんだけど、現実はそうはいかなかった。理学療法士は主に歩行のリハビリをしてくれる。ということもあって、しっかりサポートをしてもらいながら2階まで移動させてもらった。初日は2階まで行って戻ってくることがリハビリみたいな感じだった。「果たして、一人で歩けるようになるのかな」という恐怖を強く感じていた。作業療法士、言語聴覚士は病室でのリハビリだった。作業療法士さんは、腕・手、脚・足の機能の現状を数値で記録してくれた。言語聴覚士は、声を出すときのノドの開き具合、舌を動かす力、息を吸い込み吐き出す力を数値で記録してくれた。いずれも、今日の数値がスタート地点となり、年齢相応の能力を取り戻すことを目標に取り組んでいくようだ。

 

この時点で、僕の身体で特に良くなかったのは、下記のようなところ。

・起き上がると「酸素が不足する、心拍数が上がる、呂律が回らない、目まいが起こる」

 ⇒寝ているときはどれも正常。どうやら、起き上がると重力に負けてしまっているようだ。

・起き上がったときの状態に筋力低下が相まって、うまく歩行できない

・スマホ、ノートPCより離れた距離で強い複視(ものが二重に見える)

これをどうにかリハビリで回復させていくという、長い道のりが始まろうとしていた。

 

本日の投薬、リハビリが終了したところで主治医が訪れた。

これから血液を採取して、外部専門機関へ検査を依頼したいとのこと。

主なメリットは、

・病気の確定診断ができる

・無料である

 ⇒検査結果は医学の進歩に利用していただけるようだ

反対にデメリットは、

・1ヶ月以上の期間を要する

・厳正に取り扱うが、必要最低限の個人情報を提供する

のような感じ。

一瞬の迷いもなく、「お願いします」と署名した。

この状況で同意しない人は少ないと思うけど、後になって病気を確定することがとても重要なことだと分かった。

「ギラン・バレー症候群の疑いが強い」と「ギラン・バレー症候群です」の大きな違いは、他の病気の可能性を排除できるかどうかにあると思う(間違ってしまうこともあるんだろうけど)。

いろいろ調べて分かってきたんだけど、ギラン・バレー症候群と似たような症状の病気はものすごくたくさんある。CIDP、多発性硬化症なんかをはじめ、聞いたこともない病名がずらりと出てくる。しかもいわゆる難病ばかりだ。

僕が患った病気がギラン・バレー症候群であることを確定できれば、少し安堵できる事項も出てくる。

代表的なものは、

・予後(簡単にいうと治るか)が良好である。後遺症が残る確率は20%程度

・再発の可能性が2~5%である。他の病気だと、繰り返し発症することが前提となるものも多い

・症状がピークを越えた以降は回復の一方向に向かう(全体の10%程度はぶり返すが、再度免疫グロブリン療法が可能)

のような感じ。僕にとっては、後遺症が残る可能性が20%程度の低さ(それでも高いけど)だったり、再発の可能性が極めて低い点に希望を感じた。

 

夕方になって全身の倦怠感と微かな頭痛を感じた。これは免疫グロブリン療法の副作用なのかな。

後に医師から聞いた話なんだけど、おそらく体内で投入した薬剤が、悪さをしているヤツと戦っているんだと。この説明はわかりやすかった。加えて、「辛かったら、投薬の速度を遅くするとか方法があるから言わないとだめだよ」という忠告があり、造影剤の二の舞は起こすまいと思った。

 

夕食をとって、仕事仲間や大切な人とLINEのやり取りをしているうちに眠っていた。

今日は一日を通じて、食事の8割くらいを食べることができた。それでも1,100㎉くらい。入院前の体重が62、63kgくらいだったのが、ついに58kgに...。

明日からは、完食が目標になりそうだ。