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―――私の初恋の代償
―――次の恋をするまで、“彼”が私を見守ってること
次の恋が出来るようになるまでは―――
「明柚(アユ)!」
いきなりクラスメイトのアーサーに呼び止められる
「何?」
「お前の後ろに、いっつも男がついてる気がするんだけどよ、」
言われてどきりとする
・・・・・きづかれてる。
・・・・・なんで?
「そ、そんなの居る訳ないじゃん!馬鹿じゃない!!」
すぐに私は言い返した
言った後に、力みすぎた、言いすぎたと後悔した
しかし、アーサーは少し笑って
「あぁ、そうか。ならいいんだけどな・・・・・。」
とだけ言って去って行った
・・・・・・何なんだよあいつ
次の日も、その次の日も
アーサーは絡んできた
「お前のためじゃない。」「心配なんかしてない。」なんて言いながら
・・・・・・ホントに何なんだよ
でも、アーサーといるときは
とても楽しかった
―――ずっと一緒にいてほしい、
―――このままの関係が続けばいい
そう思った時、胸がずきりと痛んだ
―――これ以上近づいちゃだめ
「ぅっ・・・・・」
口から吐息とともに吐き出された言葉は
想いと裏腹にアーサーをもっと近づけることになってしまった
「オイ、大丈夫か!?」
「・・・・・っ」
来ないで・・・・
来ちゃ・・・駄目なの
これ以上来たら・・・・・
“彼”が・・・・・
それだけ言えればいよかった
言わなきゃいけなかったのに
アーサーが私の肩に触れる
触れただけ
触れただけなのに
突如、彼の腕に深い切り傷が出来る
「っってぇ!!!」
「アーサー!ちょっと動かないd」
「てめぇ!なにすんだよ!」
アーサーは私・・・・より後ろの方に向かって怒鳴り始めた
勿論後ろは植木だから誰かいるわけがない
見える人間、は・・・・・
「明柚は必死に変わろうとしてんのに、なんでそれを阻止してるんだ!!」
見える人間は・・・・私以外いないと思ってた
「アーサー、見えるの?」
「見えるも何もそこにいんだろ!おい!なんか言えねーのか。」
アーサーは実態のない“それ”に向かって怒鳴る
なんで・・・・・
「なんで・・・・。」
私の眼に涙がたまってきた
ヤバい・・・なきそう
「なんでも何もお前が必死に頑張ってんのを邪魔する奴は俺は許さない」
そして、さらに怒鳴り続けるアーサーを見てて
涙が止まらなくなってきた
――ねぇ、君は分かる
――君は、私がもう恋をしないって言ったから来たんだよね
――でもね、今なら思うんだ
「アーサー。もう良いよ。大丈夫」
彼は、時期に消える
「もうって何だよ。俺はこいつが・・・っ」
私はしゃがみこんでしまった体を動かして
アーサーの切れた腕を持っていたハンカチで縛って止血する
「とにかく、保健室いこ」
そう言って上を向くと
アーサーは一瞬驚いて
そのあと、安心したような呆れたような表情をして
「あぁ、」とだけ呟いた
その後
彼は現れなくなった
「そ~言えば、あいつはなんだったんだ」
別に気にしてるわけじゃね~けどなんてもごもごいいながら
アーサーが訊いてきたもんだから
私は少し笑いながら言った
「恋をしたがらなかった私への罰ゲームだよ」
でも、もう大丈夫、好きな人がいるから
そう呟いて、アーサーの腕に自分の腕をからめる
君が好きになって彼は消えたけど
私の中の臆病が君に“好き”を伝えさせてくれるまで
まだ時間が必要そうだから
それまで待っててくれればいいな・・・・