株式価値評価方法(5)コスト・アプローチ①簿価純資産法 | 謎の金融日誌

株式価値評価方法(5)コスト・アプローチ①簿価純資産法

・コストアプローチによる株式評価手法:簿価純資産法についてです。

・これまで説明してきた評価手法の基本的な考え方は「将来生み出される(であろう)キャッシュフローを何らかの割引率で現在価値に直す」というものでした。将来生み出される収益が起点になるという意味で、インカムアプローチとよばれるわけです。

・ コストアプローチの考え方の基礎は「会社が過去積み上げてきた純資産はいくらなのか?」という点にあります。財務諸表の資産(借方)に計上されているの は、会社が稼得してきた財産の和です。一方負債(貸方)は財産を得るために外部から調達した資金です。したがって資産-負債=純資産が会社財産のうち株主 が負担したコストであり株主の持分だというわけです。

・純資産法を使うケースは以下のような場合です。
 イ.評価のメイン手法はインカムアプローチだが保守的な試算の参考とするために併用する場合
  → 債務超過かどうかを確認するなど
 ロ.会社の清算や解散など、会社財産自体の分配を主眼とする場合
  → 将来価値を算定してもしょうがないからインカムアプローチは使えない 
 ハ.税務評価や上場審査などの規制上の対応で求められる場合
 ニ.評価の基礎資料として修正財務諸表を作成する場合

・ この考え方のインカムアプローチと比べた利点は、将来の長期間にわたる不確実なキャッシュフローを予測する必要がない点です。また市場という直感的にはは 関係の薄そうな物差しを使った割引率などに影響されずに、会計的に価値を割り出せます。そもそも簿価ですから決算書と直近の試算表があれば比較的容易に概 算することができる点も利点です。これは評価者による違いが出にくいということでもあります。
・一方デメリットとしては、過去に積み上がってきた資産・負債を評価するだけなので、現時点の時価から乖離しやすい・将来の成長性やリスク・事業内容の考慮などを反映しにくい・キャッシュで評価しないので財務諸表の数字に左右される、といった点を挙げられます。