株式価値評価方法(7)コスト・アプローチ②時価純資産法 | 謎の金融日誌

株式価値評価方法(7)コスト・アプローチ②時価純資産法

・株価評価のコストアプローチ2:時価純資産法です。

・簿価純資産法の最大の欠点は、「もととなる財務諸表が正しいのかどうか」に尽きます。
修 正のポイントは主なものを挙げれば以下の点です。これは価値評価というよりもデューディリジェンスという側面(粉飾や、粉飾までいかないまでも甘めとなっ ている計上金額の発見)も兼ねています。基本的な視点は、資産面では「資産計上されているものには実体としての価値はあるのか=今の換金価値はどうか」ま たは「換金価値が出ないものは、第三者評価による公正価値でみてどうか」という視点になります。また負債面では簿外債務や公租公課の発生による負担増など をチェックすることになります。なお、中心は貸借対照表ですが、損益計算書とも随所で連動していますから併せてみる必要があるでしょう。

(貸借対照表)
1.現預金残高
2.売掛金の回収可能性
3.短期保有有価証券の処分価値、売却可能性
4.貸付金、立替金、仮払金、長期前払費用などの資産性、回収可能性
5.棚卸資産の実在性、処分価値
6.販売用不動産の実在性、処分価値
7.建設仮勘定やソフトウェア開発勘定の資産性
8.繰延資産の計上の妥当性
9.引当金などの計上の妥当性
10.その他資産台帳のごまかし、償却不足等
11.未払費用、未払金などの除外(簿外債務)、保証の有無
12.役員借入金の実体

(損益計算書)
13.売上原価の過大計上(上記5と連動)
14.償却不足、引当不足(上記10等と連動)
15.人件費や外注費の過大計上

・ 特に未上場企業の場合は役員(社長)からの借入・社長への未払給与・社長への貸付や立替金など、同族との両建て取引が「根雪」のように存在する場合が少な くありません。これらは資産・負債の双方に固定化して循環し、資金繰りを支えていることになります。したがって単に財務諸表の数値を調整するだけでなく、 企業買収後に同族取引を清算したら会社が瓦解するといったことのないように「お金の流れ」を把握することも重要です。