さまざまな株主還元指標 | 謎の金融日誌

さまざまな株主還元指標

<日経 2008年6月6日>

「新日石 自己資本配当率を導入 株主配分 今期2%以上目標」
・2009年3月から配当総額÷自己資本=自己資本配当率(DOE)を導入。原油高で純利益の
変動リスクが高まっている中、短期的な業績変動に左右されにくいDOEを採用した。
・今期のDOE見通しは2.2%。純利益は前期比62%減の見通しながら配当はDOEにより8円
増配の20円。なお過去三年のDOEは平均1.5%だった。

<日経 2008年6月6日>

「第一三共の今期 1000万株超自社株買いへ 製薬大手が株主配分強化」
・製薬大手四社の株主配分が強化される。第一三共は1000万株超の自社株買い(発行済株式
の1.4%)、武田薬品工業も配当と自社株買いによる株主配分が純利益の二倍程度に膨らむ。
アステラス、エーザイも増配や自社株買いを予定。四社合算の株主配分額は5,400億円で、
予想純利益の4,550億円に対して総配分性向(=(配当+自社株買い)÷純利益)は86%から120%近くまで高まる。
・武田の現金同等物残高は1兆6千億円。アステラスなども多額の数千億円の手元資金を持ち、
株主から資本効率改善を求められている。

各社とも配当性向、DOE、総配分性向などさまざまな指標で株主還元を考えているようです。
しかしどのような指標が適切なのか、記事からはあまり分かりません。指標の定義は、
 1.配当性向=配当÷純利益
 2.DOE=配当÷自己資本
 3.総配分性向=(配当+自社株買い)÷純利益
と なっており、それぞれ2%を目指す(新日石、DOE)、100%以上にする(武田、総配分性向)などとなっていますが、根拠までは不明です。投資家側の要 求収益率と整合的でなければ意味はないわけです。その点ではCAPMといった市場指標(または、簡単にはROE)で比べないと資本効率がわかりません。純 利益をどう分配するのかということと資本に対してどう還元するかというのは考えている段階が異なっています。少なくとも資本効率でハードルを考慮したうえ で、毎期の純利益に対する配分を決めるのが順序といえます。自社株買い自体は当面の資本効率を引き上げはするでしょうが、分配への業績としてカウントされ るのはやや違和感があります。自社で過去決定した増資を否定しているだけともとれるわけなので。