敵対的買収防衛策の導入社数について | 謎の金融日誌

敵対的買収防衛策の導入社数について

M&A関連についての備忘録。

「敵対的買収防衛策の導入状況」(上)(下)『商事法務』(1843号・1844号)によると2008年7月末時点での導入状況(対象:全上場企業)は以下のとおりです。

導入済み : 507社(全上場企業数に対する比率は14.6%)

この数字を高いとみるか低いとみるかは人それぞれでしょう。ちなみに時価総額規模別に導入社数の割合をみると、

1兆円以上         : 16.9%
5千億円以上1兆円未満 : 20.9%
1千億円以上5千億円未満: 34.7%
5百億円以上1千億円未満: 28.3%
1百億円以上5百億円未満: 18.6%
1百億円未満        : 6.1%

という分布になっています。東証1部だけでみると時価総額上位50社で市場全体の時価総額の5割弱を占める一方、社数ベースでは時価総額5百億円未満の会社数が全社数の5~6割を占めていますから、

・市場へのインパクトという観点では、かなり導入されている
・普及度という観点では、まだまだこれから

と いった感じでしょうか。ただし、「まだまだこれから」と言ったからといって「普及すべきだ」ということではありません。上場会社といえども買収しても労力 に比してキャピタルゲインを見込みにくい小規模な会社・安定株主(創業者など)がいる会社・買収向きでない業種など多種多様な会社があります。むしろほと んどの小規模上場会社では管理部門のリソースの割に導入費用や対応に手間がかかって無用の長物と化す場合も少なくないかもしれません。

大 きな方向性でいえば、産業の活性化・再活性化(とそれを通じた株主利益の向上)にはM&Aのハードルは低い方がいいので、よほど濫用的な買収と明らかでな い限りは、敵対的買収防衛策は発動されず「時間稼ぎ目的」・「交渉ツール」に収斂していくと思われます(「企業価値研究会報告書」もそのような方向です が)。そう考えると導入社数は数年のうちに頭打ちになるのかもしれません。