ハイブリッド証券 : 基礎(3)発行会社のねらい①
企業がハイブリッド証券を利用する目的はさまざまですが、おおまかにいえば「財務基盤の強化」・「株主価値の希薄化の回避」・「発行コストの抑制」・「投資家への甘味材の添加」・「買収防衛」などが挙げられます。以下順番にみていくこととします。
(財務基盤の強化)
ハイブリッド証券は自己資本の強化がまず第一目標の場合が多いかと思います。特に、業績が悪化して自己資本が目減りしている企業で普通株での調達が難しい 場合や、自社の業績はそれほど悪くないが市況や需給が悪化しており株価の面で自信が持てない企業、負債を今よりも増やすと信用リスクの増大が懸念されたり 格付けの低下の可能性がある企業などでの利用が考えられます。
(株主価値の希薄化の回避)
自己資本の増強といっても、ただ単 に普通株式で増資すると既存株主の持ち分が希薄化するリスクがあり、株価が却って下落してしまいます。また普通増資を大幅に行うと定款で定める発行済株式 数の上限に抵触してしまう場合があるかもしれません。したがって株主価値の希薄化をできるだけ抑制した形で資金調達する必要があります。そのためにハイブ リッド証券の商品性が重要となります。
特に上場企業の場合は負債比率が高まれば格付けの低下や調達コストの上昇といった形で資金調達のアベイラ ビリティが狭まることに注意が必要です。ハイブリッド証券の発行にあたっては事前に格付会社と協議して「資本性」について認めてもらう段取りをとります。 資本性とは「そのハイブリッド証券がどの程度資本としての性格を持っているか」という程度を指し、各格付け会社が独自の基準を定めています。細かい技術的 な点を除けばポイントは以下のとおりです。
①元本の償還の有無
→ 元本償還がなければ資本性が高くなります。
②満期の有無・満期までの期間の長さ
→ 永久債や50年債など満期が長いほど資本性は高くなります。
③配当や残余財産の請求権の順位
→ 配当や残余財産の請求権が他の債権者より劣後するほど、資本性が高くなります。
④配当の支払方法、累積ベースでの支払いかどうか、配当支払の停止条件
→ 配当が固定しているほど負債に近く、業績や利益に連動するほど株式に近い=資本性
が高くなります(一般にはLibor+○bpといった方法で金利や配当が決まります)。また過去
の配当を累積して支払う義務がなければ資本性が高くなります。また業績その他の条件に
より配当支払が停止される可能性が高いほど、やはり資本性は高くなります。
⑤コール条項
→ コール条項とは発行会社による償還オプションです。この条件が無いものや基準が厳しい
ほど資本性は高くなります。
資本性は0%、25%、50%、75%、100%などの数段階で判定されます(数字が高いほど普通株に近い)。ある証券の資本性が75%といった場合は、その金額の75%が資本とみなされ、格付け判断上の負債比率の計算から外されることになります。
(つづく)
(財務基盤の強化)
ハイブリッド証券は自己資本の強化がまず第一目標の場合が多いかと思います。特に、業績が悪化して自己資本が目減りしている企業で普通株での調達が難しい 場合や、自社の業績はそれほど悪くないが市況や需給が悪化しており株価の面で自信が持てない企業、負債を今よりも増やすと信用リスクの増大が懸念されたり 格付けの低下の可能性がある企業などでの利用が考えられます。
(株主価値の希薄化の回避)
自己資本の増強といっても、ただ単 に普通株式で増資すると既存株主の持ち分が希薄化するリスクがあり、株価が却って下落してしまいます。また普通増資を大幅に行うと定款で定める発行済株式 数の上限に抵触してしまう場合があるかもしれません。したがって株主価値の希薄化をできるだけ抑制した形で資金調達する必要があります。そのためにハイブ リッド証券の商品性が重要となります。
特に上場企業の場合は負債比率が高まれば格付けの低下や調達コストの上昇といった形で資金調達のアベイラ ビリティが狭まることに注意が必要です。ハイブリッド証券の発行にあたっては事前に格付会社と協議して「資本性」について認めてもらう段取りをとります。 資本性とは「そのハイブリッド証券がどの程度資本としての性格を持っているか」という程度を指し、各格付け会社が独自の基準を定めています。細かい技術的 な点を除けばポイントは以下のとおりです。
①元本の償還の有無
→ 元本償還がなければ資本性が高くなります。
②満期の有無・満期までの期間の長さ
→ 永久債や50年債など満期が長いほど資本性は高くなります。
③配当や残余財産の請求権の順位
→ 配当や残余財産の請求権が他の債権者より劣後するほど、資本性が高くなります。
④配当の支払方法、累積ベースでの支払いかどうか、配当支払の停止条件
→ 配当が固定しているほど負債に近く、業績や利益に連動するほど株式に近い=資本性
が高くなります(一般にはLibor+○bpといった方法で金利や配当が決まります)。また過去
の配当を累積して支払う義務がなければ資本性が高くなります。また業績その他の条件に
より配当支払が停止される可能性が高いほど、やはり資本性は高くなります。
⑤コール条項
→ コール条項とは発行会社による償還オプションです。この条件が無いものや基準が厳しい
ほど資本性は高くなります。
資本性は0%、25%、50%、75%、100%などの数段階で判定されます(数字が高いほど普通株に近い)。ある証券の資本性が75%といった場合は、その金額の75%が資本とみなされ、格付け判断上の負債比率の計算から外されることになります。
(つづく)